【強迫症】暗いニュースをみると縁起でもないことを考えてしまう!3つの不安典型パターンと抜け出し方

浦和すずのきクリニックの鈴木です。


事件や事故のニュースを見た時、こんな風に思って悩んでいる人はいませんか?


・事件の被害者に対して、心の中で「自業自得だ」のような、不謹慎でひどい言葉が浮かんでしまい、強い自己嫌悪に陥る

・加害者のニュースを見て、「自分もいつか同じことをするのではないか」という恐怖にとらわれる

・自分や家族がニュースと同じような不幸なことが起こると考える


ニュースをみると不安になるから見れなくなっていませんか?


これは強迫症でよくある症状です。

この記事では、代表的な3つのパターンを紹介し、それに対する対処法を説明します。

ニュースへの対処法がわかり、不安に振り回せれずにニュースが見られるようになります。



暗いニュースで現れる3つのパターン


強迫パターンとしては

①被害者への不謹慎な考え 

②加害への恐怖 

③自分や家族に不幸なことが起こる

の3つが代表的。

どれも基本は「不安になる考え(強迫観念)」と、それに反応して「不安を打ち消そうとする行動(強迫行為・回避)」のセットで起こります。

強迫行為や回避をすると一時的な安心はありますが、症状がどんどん悪化します。
それぞれ説明します。


1. 被害者への不謹慎な考えが浮かぶ

事件や事故の被害者について、心の中で不謹慎な言葉が浮かんでしまうことがあります。

  • 「ざまぁみろ」
  • 「自業自得」
  • 「バカだな」

本人はこう考えたいわけではありません。

勝手に考えが浮かび、強い自己嫌悪や罪悪感にとらわれてしまうのが特徴です。

浮かんだ瞬間に自分を責める感情がセットになっています。


よくある強迫行為や回避

・「そんなこと考えていない」など否定する言葉を考える

・「ごめんさい」と心の中で謝る

・ニュースを見ない


2. 自分が加害してしまうのではという恐怖

加害のニュースを見たとき、次のような思考が生まれることがあります。

  • 「自分も同じことをしてしまうのでは?」
  • 「衝動的に誰かを傷つけてしまったらどうしよう」
  • 「階段やホームで人を突き落とす想像が浮かぶ」

ニュースの加害者と自分を無意識に重ねてしまうことで生じます。
その結果、刃物やニュースになった状況が恐ろしく感じられ、生活の一部を避ける行動につながることもあります。


よくある強迫行為と回避

・包丁やハサミなど凶器になりそうなものを避ける

・ニュースで見た状況を避ける

・「誰も傷つけてないよね」と他人に確認したり、頭の中で記憶をたどったりする


3. 自分や家族に同じ不幸が起こると考える

ニュースで知った事故や事件が、自分や家族に起こると感じてしまうことがあります。

  • 「これを見たことが自分に起きるかもしれない」
  • 「ニュースと同じ状況が、家族に降りかかるのではないか」

この症状は、偶然やニュースの情報を「前兆」や「サイン」のように捉えてしまう点が特徴です。
ニュースを見ただけで未来の不幸を予想してしまうため、強い不安や緊張が続きやすくなります。


よくある強迫行為と回避

・不幸なことが起こらないように特定の儀式(おまじない・お祈り)をする。手を洗う、特定の回数を行動する、良いことを考えるなど。


・ニュースで見た場所を避ける

・良いニュースを見て打ち消す



不安の悪循環から抜け出す3つのステップ


不安の悪循環から抜け出すための実践ステップは「①自分が恐れていることを知る」「②あえて不安なことをし、何もしない」「③練習のバリエーションを増やす」という3段階です。


ステップ1:自分が恐れ入ることを知る

最初のステップは、自分が何を一番恐れているか、その「最悪の予測」を知ることです。

なぜなら、その「予測」こそがあなたに強迫の改善を邪魔しているからです。

「不謹慎な考えを打ち消さないと、罪悪感が永遠に続く」

「包丁やハサミをもったら自分は人を傷つけてしまう」

「おまじないをしないと、本当に事故に巻き込まれてしまう」



ステップ2:あえて不安なことをして、安心行動を「やらない」

このステップでは、意図的に回避したくなるあえて不安な状況に身を置き、いつも不安を消すためにやっている行動(強迫行為)をやらない、ということをします。

「あえて回避していることをする」「不安でも安心させるようなことをしない」ことをすることで「何もしなくても、予測された最悪の事態は起こらなかった」という新しい学びが生まれます。

<練習の具体例>

不謹慎な考えへの対処

あえて不謹慎な考えが起こりそうなニュースを見る。不謹慎な考えが浮かんでも、心の中で謝罪したり、「思ってない」と打ち消したりするのをやめる

→「不謹慎な考えを打ち消さなくても、他のことをしているうちに罪悪感は自然に薄れていった」



加害への恐怖への対処

包丁を使った加害のニュースをあえて見る。その後、家族がいるところで包丁をもって料理をしてみる

→不安はあったが包丁で誰かを刺してしまうことはなかった



不幸の予感への対処

自分が恐れている悪いニュースを見る。おまじないをしないでいたたら、そのニュースと同じおとが起こるかを試してみる。

→何もおまじないをしなくても家族に悪いことは何も起こらなかった



ステップ3:練習のバリエーションを増やす・ハードルを上げる

3つ目のステップは、あえて色々な状況で練習しバリエーションを増やしたりハードルを上げることです。

なぜなら、同じ状況だけで練習していると「このパターンだけは大丈夫」という限定的な安心しか得られないし、不安の高いものに対応できないからです。


・より怖いニュースにチャンレジ

・自分からわざと不謹慎な言葉を思い浮かべながらニュースをみる

・怖いニュースを怖い場所で見る


色々な状況で「何もしなくても、予測したことは起こらない」という経験を積み重ねることで「どんな状況でも、自分が考えているような最悪なことはおこりにくい」という、より強力で柔軟な新しい理解が育っていきます。


まとめ


この記事では、ニュースへの不安が引き起こす強迫観念と、それを打ち消すためにとってしまう強迫行為・回避行動について解説しました。

・何を恐れているのか、自分の「不安の予測」をする

・あえて不安なことをして、確認・打ち消し・回避をやめる練習をする

・練習のバリエーションを増やし「不安があっても大丈夫な経験」を積み重ねる


これらのことをすることで、少しずつ症状は改善してきます。

しかし、自分ではなかなか進めることができないかったり、やり方に迷ったりすることがあるものです。

間違ったやり方をしていると余計不安なることもあります。

うまくいかないと思ったときはご相談ください。

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