「 2009年07月 」一覧

うつ病と性格のラベリング

臨床心理士の鈴木です。

「うつになりやすい性格」なんて聞いたことがあると思います。

真面目で融通がきかない、神経質などなど。

しかし、よくよく考えれば何をもって「真面目」とするのかは曖昧。
真面目なところもあれば、そうでないところもある。
神経質なところがあればそうでないところもある。

人に対して「性格」のラベリングをはることは、
「あなたはズボラなところはあるけど、こだわるところはこだわりますよね」
という、必ず当たる性格診断や占いと大差はない、と私は思います。

以前は自他ともに認める「プラス思考」だった人が、うつ病になることも珍しくありません。
つまり、うつ病は誰でもなりうる病気なのです。

プラス思考と自分にラベリングしていた人がうつ病になると、昔の自分と比較してしまい、そうなれない自分に直面しさらに落ち込むこともあります。

プラス思考にあこがれている、自分に「マイナス思考」のラベリングをはっている人も、「プラス思考」になれない自分に落ち込みます。

そんな時に自己啓発本を読んだり、怪しげなセミナーに参加しても、あこがれている「プラス思考」になることはあまりないと思います。
プラス思考の時もあれば、マイナス思考の時もありますから。
「24時間マイナス思考なんです」という人も、いきなり大地震が起こるとか、事故に合うとか、実際に起こる可能性があるものを24時間考えていません。
「自分はいつも自信がない」と自信たっぷりにラベリングしている人も多いのではありませんか?

ただ、うつ病になっている時は「マイナス」の部分ばかりに意識が向いているので、「24時間気分が落ち込んでいる」と感じてしまうことはあります。
この辺りはカウンセリングで柔軟にしていくことは可能です。

「プラス思考」にならなくても、「マイナス思考」のままでも、「本当の自分探し」をしなくても、十分にうつ病は良くなる可能性はあります。

「性格」「本当の原因」を知ること(知ったつもりになること)と、うつ病が良くなることは別です。
自分にラベリングをはることをやめると、新たな可能性が開けることもありますよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


夏のカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

暑い日が続いてますね。

学校が夏休みになる学生の多くにとっては、楽しい時期でしょう。

一方で、心の調子を崩す人も少なくありません。

夏休みでは昼夜逆転が一番多いものと思います。

社会人であれば夏は休んで秋から働く、という方もいらっしゃるでしょう。
退職の理由が、電車が怖くなって通勤できなくなったから、会議で緊張して震えてしまって、ということはありませんか?

パニック発作が怖い、外出先や学校、職場で人目が気になる、何度も確認してしまう、など不安障害で悩んでいて、学業、お仕事などに支障をきたしている方はこの夏に集中して治していくことをお勧めしています。

ケースバイケースですが、不安の克服については認知行動療法による短期集中のカウンセリングで良くなることも少なくありません。
夏休み中にすべて解決・・・とはいかないかもしれませんが、秋以降の仕事や学校の開始にできる限り問題が少ない状態で登校や出勤できるようにしていく必要性があるでしょう。

ただし、短期集中で実施する場合は、本人のやる気に左右されます。
例えば本人に治療意欲がないのに、家族が無理やり「秋までに治してください」とカウンセリングに連れてこられても、うまくいかないでしょう。
そのような時は、本人の意欲を引き出しながらのカウンセリングとなります。

カウンセリングを受けようかどうか迷っている方は、未来の自分についてどのように考えているかで決めてはいかがでしょうか。

この夏を消極的にすごせば、今自分が予想している秋を迎えることになります。
今のままでも良い、つらいけれど現状維持、不安は避け続けていればいつかパッと楽に良くなるのではないか、という方はこれで良いと思います。
カウンセリングを受ける必要性はないでしょう。

一方で積極的に動いて秋までに少しでも不安を克服し、秋の自分像に別の予想を立てることもできます。
今のままでは嫌、不安に囚われている生活なんてごめんだ、今最良と思われることをやりたい、自分がやりたいと思うことができるようになりたい、という方はこちらを選んだ方が良いでしょう。
カウンセリングを受けることをお勧めいたします。

どちらが良い、悪いということはありません。

あなたはどちらを選びますか?

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
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うつ病と散歩

臨床心理士の鈴木です。

私は散歩というものがあまり好きではありません。
散歩をしていて楽しいと思えたことがあまりないのです。

もちろん、運動になるので健康にも良いのはわかっています。
散歩をすることが気持ちが良い、という人もたくさんいます。
運動になるだけでなく、普段は気にならなかった景色や新しい発見があることによって、好みや考え方などが変わってくる可能性もあります。
「散歩は嫌いだったけれども、やってみたら楽しかった」ということもあるかもしれません。

最近良く患者さんから聞くのが「うつには散歩がいいんですよね」という言葉。
何かのテレビか新聞なんかで言っていたのでしょうか。
もちろん散歩をすることは悪いことではありません。
散歩をすることによって、寝ているよりは良く、症状が軽快していっている例もたくさんあります。

しかし、散歩嫌いの私が仮にうつ病になって周囲から「うつ病には散歩がいいから行きなさい」と言われれば、私は「そんなこと体がだるくてできない」と拒否をするでしょう。
そうすると周囲からは「やる気がない」「自分から治ろうとしない」と責められるかもしれません。
こうなると悪化の一途をたどります。

私にとっては悩み苦しんでいるときに、嫌い(正確にはそう思い込んでいる)な散歩をさせられたらたまったものではありません。
散歩をして楽しい、ちょっとでも楽と思えるならば、散歩をするといったことが、良い影響を及ぼすのです。

ですから機械的に「~は、○○病に良い」という情報を真に受けないことが重要です。
食品とか運動とかそういうのがいっぱいありますよね。

結果的に運動や楽しいと思えるような行為はたくさんあります。
「散歩」という「言葉」にとらわれすぎてはいけません。
大事なのは散歩という行為がその人に及ぼす影響を考えていくことなのです。

困っているときは、本人も周囲も視野が狭くなりがちです。
どうして良いかわからなくなったり、行き詰ったら専門家に相談してみましょう。
「うつ」の時「休むこと以外」にできること、うつ病への対処についてなど、アドバイスできるかと思います。

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パニック障害と薬と気そらし

臨床心理士の鈴木です。

パニック障害の方が陥りやすいパターン。

電車に乗る前に抗不安薬を飲んだり、音楽を聴きながら電車の中ですごしていたりする場合があります。

全く電車に乗れなかった方が、最初のステップとしてやるのは良い場合もあります。
そうしているうちに、自然に色々とできるようになり、治ることもあります。

しかし、そうしているうちに
「薬がないと不安で外出できない」
「音楽をきいたり、気をそらすことをしないと電車に乗れない」
となると、問題になります。

結局、短期的な対処方法を繰り返しているにすぎない場合です。
「薬を飲んで以前よりは良くなったけれど、何年間もパニック発作に悩み続けている」
となるのです。
例え一度発作がなくなったなぁと感じても、しばらくして発作が起こると「治っていない」と考え、落ち込みます。
その繰り返しになってませんか?

実は不安「場面」に挑戦するだけでは、良くならないこともあるのです。
「この体の感覚は発作では?」と、不安なのは状況だけでなく、パニック発作が起こりそうなときの身体的感覚だったりします。
発作の感覚が怖いから薬を飲み、発作の感覚にいつまでも慣れず発作を恐れ続ける。
そうするとちょっとした体の変化にも敏感になり、薬や対処方法を考え・・・と、なかなか治らないとなります。

ですから、場合によって頓服や呼吸法などのリラクゼーション、音楽を聞いたり、水を飲んだり、ガムを食べる、人と話し続けるといったことは、症状を維持している要因にもなるのです。

医師やカウンセラーに「少しずつ練習していきましょう」と言われて実践しても良くならない、といったことを相談されることが多々あります。
何を不安に思っているかをきちんと見極めていかなければ、症状は持続するのです。

長い間薬を飲んだり、気をそらすことに必死になっている方、思い当たりませんか?
できるだけパニック障害に効果が認められている認知行動療法専門のカウンセラーに相談することをお勧めします。

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摂食障害と本

臨床心理士の鈴木です。

この間の日曜日は朝から夕方まで対人関係療法の勉強会が都内でありました。
対人関係療法は、認知行動療法とともに、うつ病や過食症に効果的であるというデータが出ているカウンセリングの方法です。

約20人程度のこじんまりとした、事例検討会。

何回か行っていると、同じような面子がチラホラ。

この勉強会のために、関西や大阪の方からも、わざわざきています。

それもそのはず。

対人関係療法の事例検討会は、ほとんどやっているところがありません。
日本ではまだまだ新しい心理療法です。

中身も濃い。
変な勉強会に行くよりもずっと役に立ちます。

対人関係療法の中に行動療法を取り入れているものなど、そんなものがあったのかというものまでありました。

摂食障害やうつ病で悩んでいる方は、認知行動療法や対人関係療法を受けてみることをお勧めしています。
摂食障害の場合は、全く根拠のない理屈が書いてある本なども多々あります。
このため必要に応じてですがカウンセリングの中でお勧めの書籍なども紹介しています。
本を読んでポイントとつかむだけで、症状が改善していく場合もありますよ。

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