強迫性障害と囚われる時間

臨床心理士の鈴木です。

強迫性障害には行動療法が世界的にもスタンダードな治療法ですし、治療において第一選択肢とされていますが、強迫性障害の方で行動療法を受けている人はそれほど多くはないと思います。

その理由の一つは強迫性障害だと思わずに長い間過ごしていること。
子どもの頃から症状はあったものの、病気だとは思わずにすごしていることがあります。
まず病院を受診するまでに時間がかかるのです。

さらに病院を受診したとしても
・強迫性障害と診断されない
・薬物療法を何年も続けていても良くならない
・症状が軽減しても薬を減らすとまた元に戻る
といったパターンが少なくありません。

また行動療法を希望したとしても
・「やっても意味がない」と主治医から言われる
・そもそも行動療法をやっている臨床心理士がいない
というパターンになることも多いでしょう。

これらのことから強迫性障害の方は薬物療法と行動療法という二つの標準的な治療を受けるまで数年~10数年かかることは珍しくないといわれています。
行動療法についてはやっていない人の方が多いのではないでしょうか。
その期間、多くの時間を強迫的な考え・行動に囚われることとなるのです。

以前はあまり治らない病気といわれていましたが、現在では適切な治療を受ければ良くなっていくというデータがでています。
早めの治療を心がけていくことで、強迫性障害に囚われない時間を取り戻していきましょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


白衣と認知行動療法

臨床心理士の鈴木です。

先日、都内にある「癌研有明病院」で、職員向け研修の講師として招待され行ってきました。

有明駅やビッグサイトの近くにある、国内屈指のガン専門病院です。
SN3G0006_0001.jpg

ベッド数が700もあり、建物は新しくてキレイです。
予定よりも早く到着したのでどうしようかと思っていましたが、病院内にタリーズコーヒーがありゆっくりできました。
これだけ大きな病院だとハード面はクリニックと全然違います。
私の職場内にもコーヒーショップがあったら・・・羨ましい・・・。

病院内を案内してもらいましたが、よくよく見ると院内の様々なところに患者さんを気遣う工夫がされていますね。
さすがです。

研修テーマは「禁煙指導に活かすカウンセリング技術」。
病院内の講堂で開催。
医師や看護師が中心に集まっていました。

私の職場では白衣を着る職員がほとんどいないので(私も含め)、今回のように多くの白衣を着た人達を目の前にすると結構緊張しました。
私は講演会の時いつも緊張するのですが、その緊張も講演が始まるとすっと忘れていきます。
人前で緊張してしまう人に対して普段教えていることを自然にしているのかもしれませんね。

中身は主に認知行動療法を中心としたものをお話してきました。
精神科以外の医師、看護師が多いと思うので、一度の講演ではさすがに伝えきれないところがありましたが・・・。
活用していただいて、少しでも役に立ってもらえればと思っています。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


うつへの対応と講演会

臨床心理士の鈴木です。

浦和区のケアマネージャーさんと市役所職員の勉強会に招待され「対人援助職のストレスマネジメント」という題目でお話をしてきました。

場所は浦和ふれあい館。
110221_1804~01

最近、ストレスマネジメントについてお話する機会が増えています。
今回はうつ病への対応が中心。
お話の中身は
・ストレスについて
・マイナスに考える時の対応
・クヨクヨ悩み続ける時の対応
・不眠への対応
・コミュニケーションの癖について

教科書的なものだけだとつまらない・・・と勝手に思い、認知行動療法の新しい?技法なども織り交ぜてお話しました。

結局普段のカウンセリングでお話していることと同じですね。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


対人関係療法と専門家

臨床心理士の鈴木です。

先日、対人関係療法の勉強会に行ってきました。

いつものようにこじんまりしていますが、対人関係療法で有名な某先生を囲んでの勉強会で大変充実していました。
年齢層も高く(・・・ような)、中堅以上の精神科医や臨床心理士が勉強会に参加している印象です。

対人関係療法は本だけみるとただただ気持ちを伝えましょう、というイメージをもたれがちですが、そうではなく非常に広範囲なことをアセスメントし、戦略として用いています。

過食症やうつの方にはお勧めのやり方の一つかもしれません。
ただ、患者さんが本を読み一人でやるにはやや難しいような気がします。
やはり専門家のもとでやった方が良いでしょう。

対人関係療法の定期的な勉強会はこの勉強会以外ではあまりされていないはずですが、インターネットをみると「対人関係療法の第一人者」と書いてある「誰?」という人も時々見かけます。
また某有名先生の「弟子」と自称している「誰?」という人も。
もちろん私が知らない人もたくさんいると思いますが、経歴などをみると違うだろうなぁと。

認知行動療法もそうですが、対人関係療法の正確な情報が広がっていくのも時間がかかりそうです。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


摂食障害の治療方法とインターネットサイト

臨床心理士の鈴木です。

最近インターネットを使って調べ物をしていました。
精神的な病気についてネットで調べようとすると、様々な情報があふれていますね。
そこで気になったことがいくつかありました。
今回は摂食障害のサイトについて少しお話します。

摂食障害のサイトなんかで多いのは
「摂食障害は過去の親子関係が原因となっており、そのトラウマが癒されることで治る」
という、根拠に乏しいフレーズ。
ネットや書籍でかなり広まっている説です。
「自分にあてはまる」と思わせるようなエピソードを載せるため信じてしまう方も多いでしょう。
しかし、正確な情報を言いますと過去の親子関係が原因である根拠もありませんし、そのトラウマが癒されれば治るという根拠もありません。

私なんかはそこに「催眠」「前世療法」などと書いてあったら、なおさら怪しく感じてしまう。
皆さんもカウンセラーのプロフィールをみると臨床心理士ではないことに気づくと思います。

一番まずいのは「過去の親子関係が原因」と言って、「親に謝ってもらう」ことが治療としているパターン。
両親との関係が悪化して、「わかってもらえない」という結果に。
または両親から「悪かった」と言われて一時的にすっきりしても、現実は何も変わらないという結果。
そうなると「まだ私の傷は癒えていない」という悪循環。

さらに「認知行動療法や対人関係療法やってます」と書いてあると「?」と思う。
認知行動療法も対人関係療法も「過去の親子関係が原因」「親に謝ってもらわなくてはいけない」とはしていません。
治療者がどちらの療法にも精通していない証拠でしょう。

例え実際に親子関係のトラウマがあったとしても、過去は変えられません。
過去をなんとかしようとすることはさらに過去にしばられることになります。
変えられるのは「今」です。
「今」を変えられれば「今」感じられる「過去」への思いも変えられることはあるかもしれません。

過食症や拒食症で悩んでいる方はたくさんいらっしゃって、藁をもつかむおもいで治療方法を探しているものです。
治療法について正確な情報が伝わるようになれば良いのですが・・・。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


認知行動療法によるストレスマネジメント

臨床心理士の鈴木です。

東京・丸の内でJR職員を対象にした、メンタルヘルスについての講演をしてきました。

私は援助職として働いている方対象の講演が多く、一般の方対象の講演は約3年ぶりです。
そのせいかいつもよりも緊張したような気がします。

最近では大企業を中心にメンタルヘルス予防に本格的に取り組もうとする傾向があるようですね。

今回は認知行動療法を中心としたストレスマネジメントについてお話をしました。
「ストレス状況でどのような考え方・行動をすればよいか」について一般の方はなかなか知る機会がないと思います。

健康な方も悩んでいる方もストレスマネジメントを学ぶことは非常に重要です。
実はストレスレベルが高すぎても低すぎても生産性は落ちる傾向があります。
このためストレスの付き合い方を学ぶことによって、仕事のパフォーマンスレベルをコントロールできるのです。

特に認知行動療法はスキルとして学びやすいと思います。
ストレスマネジメントに興味のある方は認知行動療法を書籍からで良いので学んでみるとよいでしょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


忘年会でのビンゴ

臨床心理士の鈴木です。

毎年恒例、関連機関合同の忘年会がありました。
101218_2131~01

私は仕事が終わった後に行くので、会場についた頃にはほとんど食べ物はありません・・・。

お腹がすくのは我慢しつつ、忘年会のメインイベント、ビンゴに期待。
大型テレビや旅行券、ブランドバックなど比較的豪華な賞品があります。

いつもリーチまではいきますが、ビンゴにならない私。
今回も4つリーチがあったのにもかかわらずなかなかビンゴになりません。
そんな私がなんと!今回初めてビンゴになりました!
・・・と、思ったら最後の方だったので商品が足りなくなりジャンケンに。
このパターンは・・・と嫌な予感はしましたが案の定、一回目のジャンケンで負けました・・・。

今年も参加賞のチョコレートで我慢です・・・。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


復職支援のシンポジウム

臨床心理士の鈴木です。

名古屋で開催された行動療法学会に参加してきました。
私は○○研究室出身など学閥のようなものには属していないのですが、学会に参加しているとこんな私でも色んな方に声をかけてもらえるようになりました。
学会に参加していたさいたま市にいる行動療法家と合同勉強会の企画を模索したりと、学会に参加していると今後の技術向上となる出会いがあってワクワクします。

学会での話題に一つに復職支援についてのシンポジウムがありました。
有名どころの復職支援プログラムの内容について聞くことができましたが・・・。
実施している内容や問題となっているところは、どこもそれほど変わりないなぁという印象。

共通していたのは「何のために働くか」ということを場合によっては話し合うといったところ。
「こうありたい」と思うところと実際の状況が大きいほどストレスが増すものです。
そこをどう埋めるか考えずにただ復職することだけを目指すとうまくいかなこともあります。
職場に戻れば、状況は変わっていないことも多いわけですから。

「病気」「休職」を通じて「自分はどのように生きていきたいか」について考えるということも大切かもしれませんね。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


「心の病」と家族の対応

臨床心理士の鈴木です。

「こころ病」になると患者さん本人だけでなく、周囲の対応も大事です。

例えば
妻がうつ→夫に悩みを言う→最初は聞いてくれるが次第に「○○したら」という→「でも・・・」と否定的なことばかり言っていると夫が怒る、または「おれも疲れてるんだ」と言ってくる→さらにうつが悪化

よくあるパターンですが当てはまりませんか?

こうなると「わかってくれない」「相談してもムダ」と考え、孤独感に悩まされ、悪循環に入っていきます。

周囲も悪気があるわけではなく一生懸命なのですが、実際の場面となるとどう接していけばよいかわからなくなるものです。

時々「家族も同席してよいですか?」という質問を受けますが、もちろん構いません。
家族にどのように説明して良いか、または家族がどのように対応したら良いかということを話し合うことにより、突破口が開かれることもあります。

悪循環に気づいたら一人で悩まず早めに相談してみてください。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


パニック障害と飛行機

臨床心理士の鈴木です。

先日、飛行機に乗っていると「ハート形の島が見えます」というアナウンスが流れました。
外をのぞいて見るとこんな光景が。

CIMG0254_convert_20101124212634.jpg

天気が良かったのできれいに見えたとのこと。
そのように言われるとお得な気分になります。
日本にも何個かハート形の島があるようですね。

飛行機はよくパニック障害の方が怖れている状況の一つです。

「飛行機なんか一生乗らなくても良い」と思っている人は克服しようとは思わないかもしれません。
しかし「本当は飛行機にのって旅行したい」と思っている人は何とかしたいところでしょう。

頓服薬を持っていれば飛行機に乗れるという人ならよいのですが、いざその場になると薬を持っていても不安に耐えられず飛行機を降りてしまう方もいます。

パニック障害に限ったことではありませんが、自分のやりたいことをやれなくなることがこのような病気は一番困ることでしょう。
娯楽、旅行、仕事、出産、育児など、「普通」であるはずのことができないことはつらいものです。

このブログでしつこいくらい書いていますが、薬だけでなかなか良くならない方、自分では解決の糸口をつかめないは方は、認知行動療法を試してみるとよいですよ。
きちんと科学的根拠のある方法です。

日本でも認知行動療法を実施している機関が増えています。
お近くの実施期間を探して見てください。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。