【確認強迫】鍵・ガスの確認ナシで楽に外出できるようになる方法を解説

強迫性障害

浦和すずのきクリニックの鈴木です。



「外出する前に玄関の鍵を何度も確認してしまう」 「ガスの元栓を閉めたか不安で、家を出るのに時間がかかる」

このように、確認作業がやめられず、予定に遅れたり、外出先でも不安が消えなかったりして苦しんでいませんか?

「今日こそは確認せずに外に出よう」と決めても、いざ玄関に立つと「もし火事になったら」「泥棒に入られたら」という不安に負けてしまい、結局何度も確認を繰り返してしまう。

そんな毎日に疲れ果てている方も多いはずです。

確認を減らしてスムーズに外出できるようになるためには、「確認をしないまま外出する」ための具体的な練習手順を知ることが重要です。

この記事では、強迫症の症状で悩んでいる方が、玄関やガスの確認をせず、楽に外へ一歩踏み出すための実践的なステップを解説します。

あなたが今日から何をすべきかが明確になり、確認に縛られない生活への第一歩を踏み出せるようになります。


なぜ確認を繰り返しても不安が消えないのか?

安心を得るために確認を繰り返すという行為そのものが、かえって「本当に大丈夫だろうか?」という疑いの気持ちを大きくさせているからです。

まずは、多くの方がついやってしまいがちな確認の例を見てみましょう。


つい繰り返してしまう確認の具体例

目視の繰り返し: 玄関の鍵が閉まっているのを、何度もじっと見つめる

手感での確認: ドアノブを何度もガチャガチャと引っ張って、閉まっているか確かめる

指差し呼称: 「ガスよし!鍵よし!」と声に出して自分に言い聞かせる

写真や動画: 閉めた状態をスマホで撮影し、外出先で何度も見返す

家族への確認: 同居している家族に「さっき鍵閉めてたよね?」と何度も聞いて回る

頭の中での振り返り: 外出中に「あの時どうやって閉めたっけ?」と記憶を必死にたどる



これらの行動は、その瞬間は「これで安心だ」と思わせてくれます。

しかし、実際には確認したという事実への自信を失わせ、より強い確認を必要としてしまう状態を作っています。




なぜどれだけ確認しても手ごたえが得られないのか?

「しっかり見たはずなのに、見た気がしない」「指で触れたのに、感触を思い出せない」という感覚には、主なものとして以下の2つの理由があります。


1. 意識が「安心」ではなく「疑い」に向いている

確認をしているとき、あなたの意識は「鍵が閉まっている」という事実を受け取ろうとはしていません。

代わりに「もし、今見ているこの瞬間に、見落としがあったらどうしよう?」という、まだ起きていないミスを探すことに全力が注がれています。

意識が「疑い」に向いていると、目の前の「閉まっている」という情報は素通りしてしまいます。

そのため、どれだけ強くドアノブを引いても、どれだけじっと鍵を見つめても、「確かに閉まった」という実感(手ごたえ)が心の中に落ちてこないのです。


2. 確認を繰り返すほど「自分の感覚」に自信が持てなくなる

確認の回数が増えるほど、「自分の記憶が正しい」という自信(確信度)が低下していくという性質があります。

「念のためにもう一度」と確認を重ねることは、結果として「1回の確認では不十分だ」という状況を自ら繰り返すことになります。

確認を繰り返すほど、記憶の内容そのものではなく、「自分の判断が正しいかどうか」への不信感が強まっていく傾向があります。

この「自信の低下」が、どれだけ時間をかけて確認しても納得しにくくなり、玄関から離れられなくなる状況を招く一因となります。




確認を止めるための練習方法

改善のためには必要なことは「不安なままで、あえて確認せずに過ごす」という経験を積み重ねることです。

確認を繰り返す習慣を変えるには、不安を完全に消してから動くのではなく、不安がある状態で「確認しなくても大丈夫だった」という事実を実体験として知っていく必要があります。

ここからは、日常の中でどのように行動を変えていけばよいか、具体的な手順を解説します。


1. 準備:確認したい場面を整理する

まずは、自分がどのような場面で確認に縛られているのかを書き出し、どこから手をつけるかを決めます。


①確認がやめられない場面をリストにする

玄関の鍵、ガスの元栓、窓の戸締まり、電気のスイッチなど、普段から確認せずにはいられない場所をすべて書き出します。


②取り組む項目を一つ選ぶ

リストの中から、今日練習してみる項目を一つ選びます。

「一番気になっているもの」でも、「これならできそうだと思えるもの」でも、どれを選んでもかまいません。


2. 実践:確認をせずに外出する3つの手順

ステップ1:確認行為をせずにその場を離れる

鍵を閉める、スイッチを切るといった本来の動作を終えたら(終えたと感じられなくても)、点検をせずにそのままその場を離れます。

「本当に閉まったか」を確かめるための以下の行動をしないように意識してみます。

繰り返しの動作: ドアノブを回して確かめる、元栓をじっと見つめるといった「点検」をしない

記録による安心: 鍵の状態を写真に撮ったり、動画を回したりするのをやめてみる

心の中での確認: 「よし、閉めた」と心の中で自分に言い聞かせ、安心感を得ようとするのを控える


たとえ「閉めた実感がわかない」と感じても、そのまま家を離れます。「本当に大丈夫かな」という不安を抱えたままで、まずは一歩外へ踏み出します。




ステップ2:外出先で不安な気持ちと過ごす

道中で「やっぱり家が心配だ」と怖くなったとき、すぐに家に戻ったり、誰かに連絡して確認してもらったりするのを少しだけ待ってみます。

不安を消そうと格闘するのではなく、「今、自分はとても不安を感じているな」と自分の今の状態を眺めるように過ごしながら、同時に、歩く動作や周囲の景色、目の前の用事など、他への意識を向けるようにします。

このとき、「この不安はずっと続くのではないか」「もう耐えられない」といった考えが頭をよぎるかもしれません。

しかし、他への意識を向けながら過ごすうちに、あんなに強かった不安が、何もしなくても落ち着いてくることが多いです。


ステップ3:実際の結果と予測のズレを確認する

帰宅した際、「実際に何が起きていたか」という現実の結果を確認します。

ここで重要なのは、あらためて鍵や元栓を凝視して安心しようとすることではありません。

事前の激しい不安や「最悪の事態が起きる」という予想と、目の前にある事実を照らし合わせます。

「自分の予想(火事や盗難など)と、現実の結果は、どのくらい違っていたか」

「『不安でどうにかなってしまう』と思っていた状態でも、実はそのまま一日を過ごし切ることができた」

この「強い不安」と「実際の結果」、そして「不安があっても活動できた事実」の差を繰り返し経験することが、外出時への不安に振り回されない力となってきます。



練習のポイント

1.いろいろな状況やタイミングで試す

玄関だけでなく、窓やガスの元栓など、気になる場所すべてで同じように練習します。

また、長時間の外出など状況を変えて「確認しなくても大丈夫だった」という経験を重ねることで、新しい感覚が身につきやすくなります。

2.気分の波に左右されない

不安が強い日も弱い日も、決めた練習を淡々と行います。

不安の強弱に関わらず、結果(家が無事であること)は変わらないことを体験し続けることが、確かな学習につながります。



3.不確かな感覚のまま過ごす

「完璧に閉まった」という手応えを求めず、不確かな感覚のまま次の行動に移ります。

100%の確信を追い求めないことが、確認のループを止めるポイントになります。




まとめ

確認強迫の場合、外出時に確認を繰り返すほど「確認できた」という自分の感覚への自信は失われ、さらに強い確認が必要になるという悪循環に陥ります。

スムーズに外出するためのポイントは以下の3点です。

確認せずに出る: 「閉まった実感」を求めず、モヤモヤを抱えたまま家を離れる。

不安と共存する: 外出先で不安が襲ってきても、家に戻らず「今、自分は不安を感じている」と眺めながら目の前の予定をこなす。

予測と事実を照合する: 帰宅後、事前の「最悪の予測」と「無事だった現実」の差を確認し、不安があっても問題ないことを学習する。

最初は強い不安を感じるはずです。

しかし、「不安なまま、確認せずに過ごせた」という実体験の積み重ねが、外出を確認なしで楽にできるようになることにつながります。

一人ではうまくいかない、どうしたらよいかわからないという場合はご相談ください。