浦和すずのきクリニックの鈴木です。
不安なとき、AIに質問していませんか?
そして、少し安心しては、また別の聞き方で確かめていませんか?
実はそれ、かえって不安を強めてしまうことがあります。
「今すぐこの不安をどうにかしたい」
「大丈夫だと誰かに言ってほしい」
「普通なのかどうかだけ知りたい」
しかし、不安が強い時、安心を得るためにAIを使い続けると気づかないうちに検索が
止まらなくなったり、余計な可能性を知って怖くなったりすることがあります。
この記事では、以下のことを解説します。
・不安をこじらせやすいNG質問のパターン
・なぜそれが逆効果になりやすいのか
・それでもAIをうまく使う方法
単にAIを使うのをやめましょう、という話ではありません。
「どう使うか」を少し変えるだけで、不安との付き合い方は変わります。
1.即時的な対処法を繰り返し聞く
NG質問の例
「不安が出たときの対処法を教えて」
「もっとほかの方法はないの?」
「今すぐこのドキドキを止めるにはどうすればいい?」
「さっきの方法で治まらないんだけど、次に何をすべき?」
なぜNG?
AIから教わった方法を試して、もしすぐに効果が感じられないと「この方法でもダメだっ
た」「もう他に手段がない」という絶望感につながりやすいためです。
また、次々と新しい方法を探し続ける行為そのものが、不安に意識を集中させ続ける結果
になってしまいます。
2.病気かどうかを判断させようとする
NG質問の例
「頭痛がするけれど、どんな病気が考えられる?」
「動悸がするけれど、これは病気?」
「喉の違和感を調べたら重い病気が出てきて怖い。私は大丈夫?」
「血圧がいつもより高いけど、今すぐ救急車を呼ぶべき?」
なぜNGか?
AIは質問に対して、可能性のある答えを網羅しようとします。
そのため、めったに起こらない深刻な病名の可能性を説明してしまいます。
不安な状態では、その「万が一の悪い可能性」ばかりが目に付くようになり、かえって恐
怖を広げてしまうのです。
3.不安の「原因」を特定しようとする
NG質問の例
「この不安の原因は何?」
「なぜこんなに心配してしまうの?」
「過去の何が影響しているの?」
「私の性格のどこに問題があるの?」
なぜNGか?
不安の背景は複雑で、一つに特定できることは稀です。
納得のいく「たった一つの正解」を探そうとすると、いつまでも答えが出ない問いを繰り
返すことになります。
すると、解決しない問題について考え続ける時間だけが増えてしまいます。
4.専門的な治療の判断を求める
NG質問の例
「私は薬を飲むべき?」
「認知行動療法のやり方を詳しく教えて(自分でやるために)」
「どの治療法が一番効く?」
なぜNGか?
医療に関することは、個人の状態に合わせた専門家の判断が不可欠です。
AIの回答をもとに自分で判断したり、自己流の訓練を始めたりすると、適切なケアを受け
る機会を逃したり、状況を無理にコントロールしようとしてかえって苦しくなったりする
おそれがあります。
5.未来に起こる悪い予測を聞く
NG質問の例
「放っておくと最悪どんなことが起こりますか?」
「将来、〇〇という悪いことが起こる可能性はありますか?」
「もし今の仕事を辞めたら、一生再就職できない確率は?」
「このまま眠れないと、体はどうなりますか?」
なぜNGか?
AIは予測されるリスクを論理的に書き出しますが、それはあくまで一般論としての可能性
です。
しかし、不安が強いときはその「悪い予測」が確定した未来のように感じられてしまい、
自分を追い詰める材料を自ら集めることになってしまいます。
6.自分が「普通」かどうかを確認する
NG質問の例
「私の考えは普通ですか?異常ですか?」
「他の人もこのように考えますか?」
「こんなことで悩むのはおかしいですか?」
なぜNGか?
「普通」という基準は人によって異なり、明確な線引きはありません。
AIに「普通ではない」と受け取れる回答を少しでも返されると、自分を否定されたように
感じ、余計に孤独感や焦りが強まってしまいます。
また強迫症のような病気では、この質問自体が安心を求める強迫行為になることもありま
す。
安心したくてAIに問いかけているはずなのに、なぜ逆効果になってしまうのでしょうか。
それには3つの理由があります。
1.「100%の安心」を求めて、検索が止まらなくなるから
不安なときは「絶対に大丈夫」という保証を求めてしまいがちです。
しかし、AIはあらゆる可能性を網羅して回答するため、どんなにポジティブな回答の中に
も「例外」や「注意点」が含まれます。
そのわずかな「万が一」が気になり、それを打ち消すためにまた質問を繰り返す……とい
う、終わりのないループに陥ってしまうのです。
2.不安なことについて「考える時間」を増やしてしまうから
不安を解消しようとAIと対話している間、あなたの頭の中は「不安なテーマ」で占領され
ています。
皮肉なことに、解決策を探せば探すほど、脳は「今はこれを考え続けなければならない緊
急事態なんだ」と判断してしまいます。その結果、不安という感情がより太く、強くなっ
てしまうのです。
3.「確実な正解」がない問いをぶつけてしまうから
「自分は普通か?」「将来どうなるか?」といった問いには正解がありません。
正解のない問いをAIに投げ続けるのは、出口のない迷路を走り続けるようなものです。
答えが出ないことに焦りを感じ、さらに自分を追い詰める結果になってしまいます。
結論として AIを使うことが悪いのではなく、不安を消すための道具として使おうとするこ
とが、今のあなたを苦しくさせているのかもしれません。
AIを絶対に不安に対して使ってはいけない、というわけではありません。
ケースバイケースにはなりますが、不安なことについて、AIを使っても「よいことがある
」使い方を2つ紹介します。
1.感情の「書き出し」だけを行う
AIに対して、今の気持ちをそのまま打ち込みます。
ただし、最後に「解決策は教えないで」と一言添えるのが鉄則です。
使い方の例
「今、すごく不安で胸がドキドキしている。それをただ聞いてほしい。アドバイスや解決
策はいりません」
なぜこれが良いのか?
自分の外に言葉を出すこと自体に、頭の中を整理する効果があるからです。
AIに解決を求めないことで、「もっと良い方法があるのでは?」という新たな不安の種を
探さずに済みます。
2.「事実」と「予測(考え)」を仕分けする
不安なときは、頭の中で「実際に起きていること」と「自分が怖がっている想像」が混ざ
り合って、一つの大きな恐怖になっています。
これをAIに頼んで、きれいに分けてもらいます。
使い方の例
「今から書く文章を、『実際に起きたこと』と『私が心配していること』の2つに分類し
て」
AIに仕分けてもらった結果を眺めると、「あ、これはまだ起きていない自分の想像だった
んだな」と、一歩引いて客観的に見やすくなります。
解決策を探すのではなく、今の状態を冷静に眺めるための「整理の手伝い」だけをさせるのがコツです。
それでもAIを使わない方がよいとき
もし、上記のような使い方をしていても、AIの返信に対して「でも、本当に大丈夫?」「
今の私の書き方で伝わった?」と確認したくなったら、すぐに中止してください。
メンタルの問題でAIを使うとき、それが「薬」になるか「毒」になるかの境界線は、「あ
なたがAIに安心を求めすぎているかどうか」にあります。
「AIに心を軽くしてもらおう」と思った瞬間に、それはNG質問へと変わりやすくなります
。
あくまで、自分の頭の中を整理するための「しゃべるノート」として使うことがおすすめ
です。
不安なときにAIを使うこと自体が悪いのではありません。
問題になりやすいのは、「安心を得るため」に使い続けることです。
・即時的な対処法を繰り返し探す
・病気かどうかを判断させる
・不安の原因を特定しようとする
・治療の判断を求める
・未来の悪い予測を聞く
・自分が普通かどうか確認する
これらはすべて、「確実な答え」や「完全な安心」を外から手に入れようとする行動です
。
しかし、確実な正解や完全な安心はありません。
安心を求めてさらに質問する、という流れが続いてしまいます。
では、どう使えばよいのか。
AIには
・気持ちを書き出す
・事実と予測を分ける
といった「整理」だけをさせる。
解決や保証を求めないことがポイントです。
AIを不安解消の道具にするのではなく、思考を整えるためのノートのように使う。
この使い分けができるかどうかで、AIは不安を広げる存在にも、落ち着いて考えるための
補助にもなります。
