車の運転が怖い!加害強迫を克服するためにやってはいけない6つのこと

浦和すずのきクリニックの鈴木です。

車の運転中に「誰かひいたしまったかも」と不安で何度も確認してしまう症状で悩んでいませんか?

強迫症(障害)の代表的な症状の一つです。

加害強迫と言われています。

なかなか治らず何年も苦しんでいる人も多いでしょう。

しかしご心配なく。

強迫症は認知行動療法で改善する病気の代表格です。

簡単ではないですが、努力次第で良くなります。

今回はこの症状を認知行動療法でどう克服していけばよいかについて説明します。

実際にやってもらうことで多くの人が改善します。

自転車で誰かひいたか怖い!って人も参考になるかと思うので乗り物系の加害強迫の人は参考にしてください。

 なぜ何度確認しても不安が強くなるのか?

なぜ「誰かをひいてしまったか?」と不安が強くなるのかを把握しておきましょう。

車にのっていると「こつん」と石があたったような音がしたとします。

すると「誰かをひいてしまったかも」と不安になります。

この不安な考えを「強迫観念」と言います。

強迫観念があると不安になるので音がした場所に戻って確認して安心しようとします。

この安心させるような行動を「強迫行為」と言います。

強迫行為をすると安心するのですが、長くは続きません。

「もしかしたら見間違いかも」

「事故の現場検証がおわっただけかも」

などいくらでも不安がわいてきます。

すると何度も不安になった場所に戻ったり、警察に事故がなかったかを問い合わせたりします。

それでも安心できずどんどん不安が強くなって生活に支障をきたすようになります。

強迫行為は麻薬みたいなもので、やればやるほど強くなる性質があるのです。

一時の安心感と引き換えに、長期間の苦しみを生み出します。

曝露反応妨害法で克服できる

強迫症を克服するためには、強迫行為を止めなくてはいけません。

要するに車の運転をして確認しなければよいのです。

確認しないと不安が強くなりますよね。

しかし、不安は時間が経つと薄れてきます。

車の運転をして怖いと思っても確認をせずにそのまま生活をして、何度不安が上がっても下がる経験をしていくことで不安に慣れてくるんです。

結果としてあまり不安にならなくなったり、不安でもやり過ごせるようになります。

車の運転などあえて不安なことをして不安にさらすことを「曝露」、確認など強迫行為をしないことを「反応妨害」、二つ合わせて「曝露反応妨害法」と言われる方法です。

認知行動療法の技法のひとつ。

この方法をきっちりやることで多くの方が改善します。

知っておくべき6つの「やってはいけないこと」

「車の運転をして強迫行為をしない」ってシンプルではあるのですが、やろうとするとうまくいきません。

単に不安でなかなか挑戦できないってこともありますが、他に2点原因があります。

・強迫行為をやりながら運転している

・不安だからといって避けていることがある

この2つをやっているといくら車の運転をしたところで怖いだけで克服はできません。

「車の運転して我慢しているに改善しない」って人のほとんどに当てあまります。

この問題については強迫行為になっているか?避けていいるかをあらかじめ知っておくことで対処できます。

ところがなかなか自分では気づけない人が多いです。

人によって何が強迫行為になっているかは違いますが、よくある6つの例を挙げておきますのでチェックしてみてください。

1、頭の中で安心させようとしている

「誰かをひいたのでは」と不安になったら「誰もひいていないから大丈夫」「ぶつかったなら大きな音がするはずだから大丈夫」と言い聞かせていませんか?

これも強迫行為になりえます。

安心させようとしているので。

よく「自分に自信をもてばいいんだ!」って考えて「大丈夫」と言い聞かせる人がいますがいくら言い聞かせても自信なんかもてないです。

「自分が気づかなかっただけかも」と考えてしまうがオチ。

むしろ「大丈夫」と言い聞かせれば言い聞かせるほど「でももしかしたら・・・」と疑念が浮かび不安が強くなります。

それに運転中にこれをやると記憶をたどって大丈夫だったか考えこむので運転に集中できなくなります。

「集中できていなかったから、さっき誰かひいてしまったかも」とさらに不安のネタが増えることになります。

このため頭の中で安心するようなことはせず不安のまま運転し不安に慣らすようにしましょう。

頭の中でやる強迫行為については医療関係者でも知らない人が結構います。

曝露反応妨害法をやるときは認知行動療法の専門家のもとでやることをおすすめします。

2.「一回だけ」確認をしようとしている

確認が多いから確認減らすやり方をしようとしている人が多いです。

「3回だけにしよう」とか。

減らすことはダメではありませんが、うまくいかない可能性が高いです。

麻薬依存の人が「一回だけ麻薬いいでしょ?以前より減らすからさ」と言ったらなんといってあげるでしょうか?

おそらく「一回やったら止められないよ」と言うでしょう。

強迫行為も同じ。

「少しだけ確認して終わりにしよう」はかなり難易度が高いのです。

多くの強迫の人がここでつまづいています。

「一回だけ」という強迫の甘い誘惑に勝たないと、改善は難しいでしょう。

不安になっても強迫行為はしないを貫きましょう。

3.音で確認しようとしている

音楽を聴きながら、人と話しながら、窓を閉めたまま運転できます?

出来ないというなら強迫行為になっています。

「ひいたら音でわかるはず」と考えている人は音楽を聞いたり、人と話したり、窓をしめたままにすると不安になるので、避けようとします。

これも安心させようとしているのでダメな行為です。

音楽を聞く、人と話す、窓をしめるなどしながら運転しましょう。

4.同乗者や家族に確認している、ネットや警察で事故がなかったかを確認している

同乗者に「さっき誰もひいていないよね」と確認するのは強迫行為です。

このため同乗者はこの質問に答えてはいけません。

間違っても「だれもひいていないから大丈夫。自信もちなよ」なんて言ってはいけません!

また同乗者が寝ていると嫌じゃないですか?

確認してくれる人がいなくなるから。

同乗者がいる場合は寝てもらったりして確認できないようにしましょう。

帰宅した後も注意です。

家族に「大丈夫だよね」と確認したり、ネットで事故がなかったか検索したり、警察に確認することはやめましょう。

5.雨の日、夜間、狭い道などを避けている

広くて直線の道路は比較的運転はできるけれど、狭くてカーブが多いところや雨の日や夜間になると不安になるため、そういう道路を避けていることもあります。

またお年寄りや子供がいそうな道路を避けることも。

避けているところがあると強迫症は治りません。

「そんな道ほとんど通らないから」と思って苦手なところを残していると多少改善しても途中からうまくいかなくなるし、後で悪化して困る可能性が高くなります。

苦手な道路は避けずに克服するようにしましょう。

6.安全確認が多すぎる

ルームミラー、サイドミラーを見て安全確認するのは問題ありません。

しかし、その回数が多くなったり、じーっとみている時間が長くなったりすると症状は悪化します。

確認すればするほど自分が見たものが正しかったかに自信がもてなくなるのです。

不安だからといって後方確認ばかりしていると前方不注意となりホントに危険です。

しかも「さっき前をみていなかったから誰かひいたかも」と不安になる悪循環となります。

運転中だけでなく運転後にも車のボディが傷ついていないかをチェックして動けなくなる人もいます。

運転免許を取る時に学習したやり方をする程度の確認は問題ありませんが、過度にやっているならやめましょう。

 まとめ

車の運転に関する加害強迫は車の運転をして強迫行為や避けている場面をなくしていけば改善します。

最初は怖いですが何度も練習していくうちにあまり不安なことを考えなくなりますし、考えても流せるようになります。

自分でやっても改善しない時は認知行動療法の専門家にもとで指導を受けながらやってください。

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