講演会で強迫症の人から出た質問の答えを紹介します

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

さいたま市保健所主催で、強迫性障害の講演会をやってきました。

一人で約2時間しゃべってました。

大宮ソニックシティ市民ホールでやったのですが、定員を超える応募があり急きょ増員。

しかし、それでも多くの方がキャンセル待ち状態で参加できなかったそうです。

自治体が強迫性障害の講演を企画するのは珍しいですからね。

質問コーナーでいろいろ強迫性障害の疑問について答えたのですが、他の強迫の方も同じような疑問をもっているだろうと思いましたので、質問の一部を少し内容を変えてこのブログでも書きます。

強迫で悩んでいる方は参考にしてください。

Q.ストレスが強いと強迫が強くなる気がするのですが、ストレスとの関連はありますか?

A.一般的にはストレスが強いと症状は悪化する傾向にあります。ストレス以外でも女性であれば生理の時などひどくなる人も多いです。普段からストレス管理には気をつけましょう。

Q.強迫が良くなると強迫観念は浮かばなくなるのでしょうか?

A.強迫観念が浮かばなくなるということではありません。「強迫観念をなくそう」と思っているうちは改善しないでしょう。そもそもどれが強迫観念で正常なな観念かということも厳密に区別することはできません。下手に区別しようとすれば「これは強迫観念なのか?」と強迫的に考え、新しい強迫行為になることもあります。

強迫が良くなるということは観念に振り回されないようになることです。観念があっても対応できるようになることで生活が楽になります。浮かぶことへのこだわりが減る結果として強迫についてほとんど考えないようになることはよくありますよ。

Q.「確認してはいけない」「手を洗ってはいけない」というけれど、職場で確認や手洗いをしなければいけない決まりの場合はどうしたらよいですか?

A.職場で確認や手を洗う規則があるのであれば、それに従って構いません。しかし、規則以上にやらないこと、職場以外では確認や手洗いをしないで慣れていく練習をしていくようにしましょう。

Q.うつ病も併発している時はどうしたらよいですか?

A.うつ状態がひどくて動けない状態なら、うつを軽減してから認知行動療法に取り組む方がベターでしょう。しかし、強迫を改善していくことでうつ状態が改善される場合があります。

専門家に相談しながらをおススメします。

Q.強迫観念を理屈で説得するような方法はどうですか?いろいろ知識をつけて安心するとか。

A.例えば「HIVウィルスは○○という状態では生きられないから大丈夫」などネットで情報を調べて安心しようとします。しかし、それで安心できずにどんどん不安になるのが強迫です。「でも万が一・・・」など、頭で理解しようとしても不安は強くなるでしょう。

「○○だから大丈夫」など、理屈で納得させようとするのも強迫行為の一部であることがあります。

基本的に理屈で納得させるなど頭で納得させるようなことはやめましょう。

Q.強迫性緩慢ですが一人暮らしをしていいですか?

A.強迫症状の程度によります。一人暮らしをすると自分のペースでの生活になりついつい考え込んでしまいやすくなる可能性もあります。ある程度、対処法を学んで改善してからの方がおススメです。

Q.「強迫行為をしないで我慢」ではなく「あえて不安なことをする」が大事ということですがもう少し教えてください。

A.例えば、ただただ手洗いをしないで不安でも時間が経つのをひたすら我慢している人がいます。無駄ではありませんが、それではなかなかよくならないです。特に苦手なものに触らず、手を洗わないことをしていてもうまくいきません。

曝露反応妨害は、不安になった時に不安が下がるまで手洗いをせずひたすら我慢して耐える方法ではありません。自分から不安に積極的に飛び込んで、不安をあえて上げていき不安耐性をつけていくような方法です。筋トレみたいなものです。

「強迫行為しないでひたすら我慢」という守りの姿勢ではなく「あえて不安なことをして心の筋トレをしよう」という攻めの姿勢を大切にしてください。

 まとめ

他にも質問がたくさんありましたが、時間の関係でお答えできませんでした。

今回の講演を聞いて少しでも多くの人が、認知行動療法をやって改善しようとしていただければと思います。
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