パニック障害の人が歯医者に楽に行けるようになるコツ

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

歯医者はパニック障害の人にとって苦手場面の代表です。

虫歯で治療したくても、出来ないでいる人も多いでしょう。

そこで今回は、パニック障害の人が楽に歯医者に通えるようになるための方法について説明します。

歯医者にいくことをいちいち不安に思わなくなる一歩となるでしょう。

パニックの人はなぜ歯医者が苦手なのか?

パニックの人にとって歯医者が苦手な理由は、固定され逃げられない空間だからでしょう。

「歯医者でパニックになったらどうしよう」

口をあけ苦しい状態になるけれど、逃げられない。

そんなことを考えるだけでゾッとしてとても歯医者にはいけない、と考えていませんか?

不安な場所を避けるようになると、不安は強くなる性質があります。

歯医者はそれほど高い頻度でいく場所ではない人が多いので、苦手なままになりやすい場所の一つです。

 歯医者に行けるだけでは不安を克服できない

現実的な対処としては歯医者さんでパニックであることを伝え、相談するのがよいです。

ただ、それでも不安なことには変わりないと思います。

次に虫歯などでどうしても歯医者に行きたい人がよくやるのは次のことでしょう。

・事前に頓服薬を使用

・空いている時間帯に行く

・誰かと一緒に行く

不安を避け、安心する形をとろうとします。

この方法でとりあえず歯医者に行ける人もいます。

「とりあえず数回歯医者にいければよい」

という人はそれでよいかと思います。

しかし「今後歯医者定期的に通いたいし、その度にビクビクしたくない」「パニックを克服して自由な生活を送りたい」と考えている人ならば、マズイです。

上記の対処法は不安を避ける方法なので、パニックは克服はできないのです。

「薬がないと不安」って思っていませんか?

それではいつまでたっても歯医者に楽にいけるようにはなりません。

これは泳ぐことと浮き輪との関係で考えるとわかりやすいです。

泳げない人が最初浮き輪を使うのは大事です。まずは水への恐怖にならしていくことから始めますよね。

しかし、「浮き輪がなかったら不安」と考えていたらいつまでも泳げません。

頓服使用や空いている時に行くのは、この浮き輪にあたります。

「安全確保行動」といって、不安を長引かせる要因の一つです。

最初のステップとしてはよいけれど、どこかでやめていかなくて歯医者への恐怖心はなくなりません。

 まずは他の挑戦しやすいところから始めた方がベター

歯医者でいきなり安全確保行動をなくすのは不安でしょう。

そんな人は、まず他の場面でパニック発作への対処を練習をしてからの方がやりやすいです。

パニックの人で歯医者だけ苦手って人はほとんどいませんので。

電車や映画館など、歯医者よりも練習しやすいところありますよね。

コツは「不安にならないようにしよう」とはしないことです。

パニック発作をおそれて「起こらないようにしよう」と考えると、ずっとそのことを考えるので逆に悪化する恐れがあります。

「動悸や息苦しさを起こさない」ではなく「動悸や息苦しさが起こったとしてもなんとか対処できそう」と考えられるように練習していきましょう。

不安でもやり過ごすことが学習できれば、歯医者で不安になっても対処しやすくなります。

基本的なパニックへの練習の仕方はこちらに書いているので参考にしてください。

・パニック障害で電車に乗れない人の克服法

 「浮き輪」をはずして歯医者に行こう

ある程度不安をやり過ごせるようになったら、歯医者に挑戦してください。

最初は空いている時間で行くなど「浮き輪」を使ってもよいですが、徐々になくしていきましょう。

「不安にならなかった」ではなく「不安でもやり過ごせた」という経験を積み重ねていくことが大事。

実行していくうちに、歯医者にいっても以前より恐怖心が減ってきて、あまり考えずに歯医者にいけるようになります。

 まとめ

パニックの人が歯医者にいくだけなら、不安から逃げて安心させる方法をとるのはいいかもしれません。

しかし、パニックを克服したい、歯医者への不安にとらわれたくないというのであれば、不安から逃げる行動をやめて、挑戦していくことが必要です。

自力でやろうとしてもうまくいかないって人は、カウンセリングで私と一緒に解決していきましょう。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。