パニック障害の人が電車を途中で降りてはいけない理由

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浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

パニック障害で電車に乗れない場合、克服するためには電車に乗る練習が必要となります。

その時に気をつけるべき点の一つが

「不安になっても絶対に途中で電車を降りてはいけない」こと。

「苦しくなったら電車を降りればいいや」と思っていませんか?

実はそのような考え方でやっているとなかなかうまくいかのいのです。

今回は、パニック障害の人が電車を途中で降りてはいけない理由と対策について説明します。

電車に限らず、高速道路や美容院など他の場所に挑戦する時にも大事な考え方なので覚えておきましょう。

パニック発作が起こったら電車を降りればよいと思うと少し気楽です。

それがきっかけで乗れるようになることもあるでしょう。

しかし、そのような考え方で乗ってしまうと、まずい理由が2つあります。

途中で電車を降りてはマズイ理由① 快速電車が怖くなる

「不安なら降りればよい」としてしまうと、途中で降りられない電車が怖くなります。

各駅停車には乗れるけれど、快速や新幹線に慣れない人が典型例です。

「新幹線とか乗らないし、各駅に乗れていればいいやじゃない」と思うかもしれません。

しかし、パニック発作をおそれているうちはパニック障害は良くなりません。

電車以外の映画館、美容室、高速道路など、すぐに逃げなれない状況が怖くなるでしょう。

快速電車に乗れないような状態でいると、そこから不安はどんどん広がっていくと思ってください。

途中で電車を降りてはいけない理由② もっと怖くなる

パニック発作は何もしなくても100%おさまります。

波はありますが、時間とともに不安は下がってくるものです。

それを頭だけでなく体で理解することでパニック発作を克服できます。

しかし、パニック発作起こりそうになった時、電車を降りてしまうと「電車を降りたから不安が下がったのだ」と考えます。

すると・・・

電車を降りる→発作がおさまる

と学習してしまい、

発作があってもそのまま→発作がおさまる

を経験できないのです。

そうすると「電車を降りないと発作はおさまらない」となり、パニック発作と電車にのることをもっと恐れるようになります。

不安は避ければ避けるほど強くなる性質があるのです。

では、どうすればよいのか?

パニック障害の人が電車に挑戦するのは電車に慣れることではありません(結果的にそのような側面もありますが)。

パニック発作への不安に慣れていくことが大事なんです。

そのためには不安があってもそのまま電車にいて、落ち着いてくるのを経験することが必要。

いくら電車に乗れるようになったってパニック発作への不安に慣れなければ、調子が悪くなるとすぐに電車に乗れなくなります。

だから、電車に乗った時は少なくとも不安がマシになるまで乗り続けた方がよいです。

どれくらいの時間はのったらよいかは人によります。

最低15分くらいは乗った方がいいっていう専門家もいます。

しかし、基本は不安が収まるまで乗る、です。

とにかく絶対に「不安だから」といって途中で降りてはいけないのです。

 まとめ

「不安が強くなったら電車を降りるのではなく、不安なマシになるまで乗り続ける」と覚えておきましょう。

上手くいかない方は相談しに来てくださいね。

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