「重い病気では?」と病院で何度も検査している不安症の克服法

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

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頭痛がすると「脳梗塞では?」と考えて不安。

腹痛があると「ガンでは?」と考えて不安。

体の症状をいつも気にして「大変な病気では?」と不安になっている人いませんか?

不安症の人によくある症状です。

このような人は症状を悪化させる行動をとります。

それに気づかず、どんどん不安が強くなるのです。

今回は体の不安を悪化させる3つのこととその対策についてご紹介します。

不安を悪化させるのは以下の3つ。

悪化要因 ① 原因探しをする

「この頭痛の原因はなんだろう」と考えると、不安は強くなりませんか?

「もしかして脳梗塞で・・・」「何か腫瘍が・・・」といろいろ妄想が膨らみます。

原因を考えたところで何も解決しません。

あれもかも?これかも?と、どんどん広がります。

また不安なことを考える時間が増えて、もっと不安になるだけです。

不安症な人ほど原因探しをしてもっと不安になっています。

原因探しは悪化のもと。

やめましょう。

 悪化要因② ネットで調べる

不安症の人は体の症状についてネットで調べます。

そうすると自分が予想していなかった他の病気の可能性まで発見してしまうのです。

「もしかして、この病気かも?」と妄想が膨らんでいきます。

一つ一つ検索して、一日の大半を過ごしてしまっていませんか?

不安なことを調べることは、不安なことを考え続けていることになります。

このため不安が強くなるのです。

ある程度調べたら、ネット検索はしない方がよいでしょう。

 悪化要因③ 病院を何度も受診したり転院したりする

体の症状が不安だから病院を受診したくなります。

どうしても不安だから検査をするでしょう。

結果は「異状なし」。

不安症の人はここで安心する人はいません。

ちょっと体に異変を感じたり、他の症状があるとすぐに病院にいきます。

何度お医者さんに「大丈夫ですよ」と言われても安心できません。

これを繰り返すと

「実は検査で見逃されたところがあるのでは」

「あの医者は病気を見逃しているのでは」

と考え、他の病院を受診しようとします。

他の病院でも「異状なし」と言われると、同じように「また見逃されているに違いない」と考えます。

それでまた他の病院を受診して・・・を繰り返すのです。

受診をすればするほど、お医者さんに「大丈夫ですよ」と言ってもらえれば言ってもらえるほど、一時的な安心はできるけれど不安症はどんどんひどくなっていきます。

このため病院受診を何度もしたり、転院を繰り返したりするのはやめましょう。

 対処法も注意が必要

対処法はまず①~③のことをしないことです。

この他にも不安を解消させる行動はだいたい悪化します。

対処法も気を付けなければいけません。

不安を解消するために、サプリメント飲んだり、食べ物に気をつけたり、光を浴びたり。

一つ一つは悪いわけではありませんが、不安を解消させるためにやっていると「不安にいいものやって早く不安をなくさなきゃ」となります。

不安を解消させることばかり考えて行動しているということは、不安なことを考えているのと一緒なんです。

だから不安が強い人ほど「不安を消す」対処法を実践して不安を悪化させています。

このため不安を消そうとする対処法もやめていきましょう。

「万が一大変な病気だったらどうするの?」と不安になるかもしれません。

その不安を抱える練習をしていくことで不安症は改善されます。

 対処法① 不安を抱えたまま日常生活を送る練習

ではどのような対処をすればよいのか?

不安とは関係のない日常生活に戻りましょう。

これまで病気についてネットで調べたり、考えていたりしていた時間で、フツウの生活をしてもらえるとよいのです。

買い物、遊び、家事、ネットで旅行について調べるなど、本来自分が「不安がなかったらこんな生活しているだろうな」ってことをやってください。

または不安でやれていなかったことをするとか。

何かしていても不安なことが頭をよぎるでしょう。

そこでいつものようなに原因探しをしたり、ネットで調べたりしないようします。

考えが浮かんだら「またいつものヤツがきたな」くらいにとどめ、今やっていることに注意を向けていきましょう。

忘れようとする必要はありません。

忘れようとするともっと思い出す回数が増えます。

不安なことが思い浮かんでもよいので、自分がやりたい行動をやり続けましょう。

 対処法② 最悪のストーリーを考えて不安に慣らす

もう一つ方法があります。

最悪のストーリーを考える方法です。

例えば頭痛で脳梗塞ではと考えるならば「脳梗塞になって、半身不随になり、一生動けない生活になる・・・」など、体の症状で起こるであろう最悪のことを考えていきます。

一日一回、20分くらい「心配なことだけ」を考える時間をとるのです。

通称「心配タイム」。

最悪のストーリーを考え、紙に書き、読み上げたり、最悪のストーリーを録音して聞き続けるとさらに良いでしょう。

おそらくものすごく不快な思いをします。

ところが徹底的に何度もやっていくと、不快さに慣れてきたり「これ以上最悪のことを考えられない」となったりします。

毎日同じこと聞いて読んでいたら飽きてきますからね。

「自分からすすんでやる」ってのがポイント。

また普段不安なことが浮かんで来たら「心配タイムの時に考えよう」としておくと、割り切りがしやすいですよね。

ただし、この方法は中途半端にやると苦しいだけなので注意してください。

やり方がわからない・一人だと難しいと思ったらカウンセリングで相談してくださいね。
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