「 2016年04月 」一覧

強迫行為を我慢するだけで克服できない

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

強迫性障害の人で
「手洗いしない」
「確認しない」
「気にしない」
こんな目標設定を立てて練習をしていませんか?

これはこれで大事ですが、不十分です。
なかなかよくならないでしょう。
その理由について書いてみました。

あえて不安なことをすることが大事

強迫性障害の治療でやることは大きく2つ。
1.不安なことに十分さらされて怖さに慣らしていく
2.不安を下げようとする行動(強迫行為を)をしない。

多くの人は2ばかりやっているのです。
1を必ずやる必要があります。
忘れがちですよね。

「汚いと思っているものに触って手洗いをしない」
「バッグをわざとあけて、カードを落としたと思っ確認せずに外出する」
「不吉だと思っている行動をする」

このように不安なことを「あえて」自分でやって、強迫行為をしないようにするとよいのです。
行動だけでなく、頭の中で考えることも不安なことをやっていきましょう。

「あえて」がポイント。
「いつも不安なだからあえてやる必要はないのでは?」と考えるかもしれません。
受け身で不安をやり過ごすのでは、なかなか不安慣れていかないのです。
単なる我慢になってません?
「あ〜、また不安になっちゃった」って。

そこを積極的に自分からあえて不安なことにつっこんでいくことで、「慣れ」が出てくるのです。

「〜しない」ではなく「〜する」

といっても、ついつい「〜しない」とやりがち。
これを防ぐ簡単な方法があります。
「〜(怖いこと)をする」と必ず付け加えるとよいです。

「不吉な数字を書く」
「手すりに触る」
「車にのってひいてしまったと考える」
「しっくりとこないやり方(具体的にしましょう)をする」

1がイメージしにくい人は「何をやったら不安が強くなるか」と考えてみましょう。
行動することかもしれないし、何かを考えることかもしれません。

おそらく1はやりたくない人が多でしょう。
不安で仕方ないですからね。
しかし、そこを避けていることが強迫性障害をひどくしているのです。
不安は避ければ避けるほど強くなる性質があるから。

手洗いや確認、強迫行為をしないだけではよくなりません。
不安なことをやり続けることを意識すれば自然に強迫行為をやらずにすみます。
例えば汚いものにずっと触り続けていたら手を洗えませんよね。

不安なことから逃げず、むしろ積極的にやっていくことで病気はよくなります。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


なぜ望みのない恋愛をズルズル続けてしまのか?

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

自分は結婚して家庭を作りたい。
何年も付き合っていて、話し合いもしてけれど、相手に結婚の意思はない。
こんなんだったら別れたいけれど、なんとなく別れられない。
もしかして時間が経てば変わってくれるかも?って期待もある。

よくある話です。
特に女性が悩むことが多いようですね。

この状況ではどの選択がベターか?
私なりに心理学を用いて結論を出してみました。

つぎ込んできたお金や時間は捨てましょう

結論からいうと「別れて別の異性を探したほうが良い」です。
結婚>相手とこのまま交際、という価値観であればですが。

長い間付き合ったから次の人と関係を作り上げるのが面倒。
だから別れない。
「こんだけ長い間時間と苦労をかけて作り上げた関係だから別れてしまうのはもったいない。新しい異性が見つかるとも限らないし」と考えていますよね。

交際相手と別れて後悔するかもしれない。
新しい人を探すといったっていい人が現れるかなんて保証はない。
どっちをとっても不利なギャンブルをしなければならないのです。

どっちを選択しても不利な予想の場合、現状維持の選択をしてしまう心理傾向があります。
つまり交際相手とそのまま継続する。

しかし、それはパチンコで負け続けているのに損するのがいやで
「ここまでお金をつぎ込んだんだから、元をとるまでやってやる」
と一発逆転を狙うのと同じ。
結果、どういう運命になるか。
パチンコなら予想つきますよね。

さらに状況が悪くなり、引くに引けずボロボロになるまでお金と時間を費やしてしまいます。
損をするのは確実でも、パチンコをやめることがなんだかんだいって一番得をする可能性が高いのです。

状況が悪化するのにお金や時間をつぎ込んでしまう。
心理学的にはコンコルド効果っていいます。

要するに冷静な判断ができなくなっているんです。
結婚し家庭を作りたいという本来の自分の価値観から遠ざかっているのにもかかわらず。
ですから別れるべきなのです。(結婚して家庭をつくる<交際を続ける、の価値観なら別ですよ)

自分の望む人生に近いのはどっち?

引き際ってとっても大事。

お金も時間もつぎ込んで、苦労して手に入れたものでも状況を悪化させるものであれば手放すことが必要。
つぎ込んだ規模が大きい場合は、なかなか引くことができないかもしれません。

しかし、一発逆転はほとんどないのです。
これを受け入れましょう。
人は追いつめられるとリスクが高い方を選ぶ傾向あります。

後ろ髪をひかれるかもしれませんが過去のことは切り捨てて、未来に向かっていくことがベターな選択の場合が多いのです。

どうしても踏ん切りがつかない人は、期限をつけましょう。
期限がきて結論がでないなら、言い訳せず別れた方がよいです。

迷ったときは現状維持で自分の望む人生になりそうなのか?と問いかけましょう。
NOであれば次の相手探しに出発した方が、望む方向にいく可能性は高くなりますよ。

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病院では教えてくれないパニック発作が怖いままの理由

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

パニック障害の治療法についてパンフレットをみていた時、対処法について書いてありました。
・カフェインを控える
・音楽を聴く
・気をそらす
・呼吸法をする
・ガムをかむ
・頓服を使用

よく書いてあることです。
これをそのまま守って良くなっている人はよいですが、結構よくなっていない人が多いんですよ。
その理由の一つは、これらの対処法がパニックの悪化要因になっているかもしれないから。

例えばカフェイン。
カフェインがドキドキの原因となりやすいから控えましょうって書いていると思います。
そうするとカフェインが入っているものが怖くなります。
発作を起こらなくなることが治療ではありません。
発作が起きても大丈夫と思えるようにしていくのが治療なのです。
ですから、カフェインを恐れているうちはダメなんですよ。

関連記事
コーヒー好きのパニック障害の人必見!カフェインを飲んでもパニックは良くなります

音楽を聴くとか、ガムを書くとか、頓服薬とかも同じ。
発作を怖がって、このような行為をやっていると良くならないです。
これでよくならない人ってかなりいます。

関連記事
薬がないと外出が不安 パニック障害の再発を繰り返すワケ

呼吸法も。
呼吸法は合わない人も多いです。
余計息苦しくなるとか。

関連記事
・呼吸法をしてもパニックの不安が消えない人は

発作を怖がって、発作が起こらないようにしようとしているうちは良くならないってことです。
良くなったとしても、何かの拍子で悪くなります。

よく言われる対処法が必ずしも良いわけではありません。
しかし、このことは医療機関ではなかなか教えてくれません。
自分で対処法の幅を広げていき、治療をしていくことが必要となります。

良くならない時はこちらの記事も参考にしてくださいね。
・パニック発作への不安が下がっていかない3つの理由

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考えても仕方がないことを考えてしまう時の対処法

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

考えても仕方がないことを考えてしまう。
あーでもない、こーでもない。
そのうち時間が過ぎて、気持ちが沈む。

解決しないし、どんどん悩み続けるし、いいことないですよね。

こういう時に考えることって特徴があります。

・抽象的
「人生の意味ってなんだろう」って、抽象的なことを考えても解決しないですよね。
マイナスに考えてる時はマイナスの考えしか浮かびません。
マイナス思考の時に「人生の意味」を考えても、絶望的な結論しかでないです。

・未来や過去のこと
「あの時○○だったら」という後悔。
「この先お先真っ暗」というマイナスの未来と不安。
どちらも考えても解決しないことです。

・良い・悪いと責め続ける
「あれはいけない」「自分はダメだ」「他人は良い」と、良い・悪いを考え続ける。
他人や自分を責める思考は、怒りや落ち込みを増やすだけ。
考えてもムダです。

対処法は?

「考えない」って思っても考えちゃうものです。
ですから何かをすることが必要となります。
代表的な方法は以下の2つ。

・具体的に考える
「明日の仕事が不安だ」って考えは抽象的ですよね。
こんな時は具体的に考えていきましょう。
「この仕事の○○が問題だから、××とした対処をしよう」って感じで。
具体的な対処を考えたら、それ以上は取り組まないようにしましょう。

・考え込まず、次の行動に移る
考えているのっていつか?って振り返ってください。
だいたい時間があるときじゃないですか?
何か別の行動をしていくと考え込みにくくなります。
集中できなくてもよいので、やり続けましょう。
考え込むよりはマシです。

「それじゃ根本的に解決できないのでは」と思うかもしれません。
そもそも根本的な解決が出来ないことで悩んでいるのですから、考えるだけムダというか、悪化要因になってますよね。

このあたりはこちらの記事に詳しく書いています。
・うつでやる気がでなくても動けるようになるコツ

まとめ
基本的に悩んでいる時って、考えても悪化するだけでよいことはありません。
少しでも気分がマシな時に、具体的に考えていくようにしましょう。

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食べ始めたら止まらない そんな時過食の人はどう対処すればよいのか

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

過食症の人は一度過食を始めると「もうどうにでもなっちゃえ」とヤケになりがちです。
「もう食べ始めたらおしまい」ってなってませんか?

過食症の人は完璧主義な人が多いと言われています。
少しでも「失敗」と思うと、「全部ダメ」となりやすいかもしれません。

確かに食べ始めたのを止めるのは難しいです。
でも終わりじゃないんですよ。
そこからできることはあります。

食べ残しってできます?

それは中途半端に食べることです。

食べものを残すことって苦手じゃないですか?
食べ始めたら、全部食べなきゃ気が済まない。
それをワザと残してもらうんです。

例えば菓子パンを食べ始めたら半分くらいで捨てるとか。
環境には悪そうですけどね。
でも、過食が良くなればそういうこともなくなります。

普段からちょっと食べては捨てる練習をしてみましょう。

最初はなんか気持ち悪いし、罪悪感が残るかもしれません。
捨てる練習をしていくことで、だんだん慣れてきます。

その時、できるだけゆっくり食べて口の中に食べ物がある時間を延ばしていくのがコツです。

そうしていくと「過食をするかしないか」の2択から「過食はちょっとしちゃったけど、ここまでで済んだ」と選択肢が増えてきます。
完璧主義を柔軟にしていく練習にもなりますね。

時間をかけて少しずつ治療していましょう

過食症は治すのに時間がかかると言われています。
過食をやめればよいって単純なものでないですし。
少しずつ考え方や行動の仕方、生活の送り方を変えていくことで改善していきます。
あせらず地道に治療していきましょう。

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