「 2016年03月 」一覧

強迫性障害のワナ!普通の人くらいの時間で確認や手洗いをする方法

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

「フツウ程度」「これくらいでいいや」は強迫のワナ

強迫性障害の人は「フツウの人程度に手洗いや確認をしたい」と思っています。
しかし、フツウにやろうとしてもうまくいかないのが強迫性障害。

「フツウの人だってこれくらい安全確認のためにやるだろう」
「フツウの人だってこれくらいの手洗いはするだろう」
ってやるとうまくいかないです。

うまくいけばある程度は確認や手洗いが短くなるかもしれません。
そうなるとよくあるマズイパターンにはまります。
「フツウの人より長いけど、前より良くなったからいいよね」

強迫のワナですよー!
あまい誘惑。
ダイエットしている人に「ここまでがんばったらから、もう運動しなくていいんじゃない」ってのと同じ。

マシになったとしても、強迫にとらわれ続ける可能性が高いです。
何かの拍子で、すぐに強迫がもとに戻ります。

よく治療をして良くなると「前より生活に支障がなくなったからこれくらいでいいや」となり、避けているものを残してしまうことがあります。
後で困るよくあるパターンです。
まぁ、前より良くなったらそれはワザワザ不安に慣れていくことなんてやりたくないですよね。
でも強迫はそんな感じでしつこくあなたを苦しめます。

フツウ程度になるための方法

強迫性障害には認知行動療法が今のところ一番有効です。
認知行動療法ではフツウの人以上のことをしてもらうことが多いです。

「私はフツウになりたいだけ」
「なぜそんなことしなきゃいけないの?」
って思うでしょう。
「他人を危険にさらすかもしれないのに、安全のための確認をしないなんて・・・」と抵抗したくなります。
「自分がやっている強迫行為は必要なこと」と考えたくなるでしょう。
万が一を恐れて行為をやるのが強迫です。

これも強迫のワナですよー!
「ホラホラ、確認しないのは不安でしょ。無理しなくていいんだよ。フツウの人だってやってるんだからさぁ。一回だけ確認しちゃいなよ。カウンセラーの言っていることなんて無理なこといってるだけだからさぁ」
麻薬の売人のように、甘くささやいていません?

フツウ程度になるには順番が大事。
フツウにやろうとすれば、フツウ程度になるわけじゃないのです。
一度、フツウ以上のことをしながら不安に慣れてもらい、過剰な不安を取り除いていくと、フツウの確認や手洗いをしても強迫にとらわれにくくなります。
ここがポイントなんですよ。
もちろん、一度克服すれば一生大丈夫なのではなく、メンテナンスをしていくことは必要です。

まとめ

フツウを最初から基準にしてしまい、確認や手洗い、避けているものがあると、将来その代償を払うことになります。
つまり再発を繰り返す可能性が高いのです。
60代、70代になっても強迫で悩んでいる人はいます。

・確認や手洗いを少なくしようとしているけれど、何年もとらわれ続けている
・前よりよくなったけれど、何度も再発を繰り返している
こんな人は、フツウを基準に手洗いや確認をやろうとしていませんか?
苦手なことを避けていませんか?

フツウになるためには、一度フツウから離れて治療・克服していきましょう。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


吐き気が怖い 嘔吐恐怖症の治療・克服法

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

吐き気が怖い。
嘔吐恐怖症の症状です。
嘔吐恐怖症は正式な診断名ではないのですが、よくある症状なんです。
パニック障害、社交不安障害、強迫性障害、うつ病などどかぶるところが多いです。

吐き気が出そうな状況が苦手ではありませんか?
・人が吐いているのを見る
・吐いている人がいそうな場所(居酒屋、週末の電車、駅など)を避ける
・家族が嘔吐するのが怖い
・満腹になる

そのような状況になると自分も吐き気がしてそのまま我慢していないでしょうか?
結構悩んでいる人多いんですよ。
そのままにしておくと、仕事や学校にいけなくなったり、楽しみにしていたことができなくなったり。
女性だと妊娠が怖いって人もいます。

このため早く治した方が良いです。
今回は、嘔吐恐怖症の治し方について。

嘔吐恐怖症は不安なことを避けているともっとつらくなる

人にもよりますが、吐き気は怖いものの、あまり実際には吐いたことがない人が多いです。
我慢していた、不安なことを避けてきた、この辺りが理由かもしれません。

しかし、不安なことを避け、我慢していることが、症状が続いてしまう結果を引きおこすのです。
不安は避ければ避けるほど強くなる性質があるから。

かといって不安な場面を避けなければ大変なことになってしまう!って考えています。
実際に不安なところにいくと吐き気がするでしょう。
そこで、これまでは逃げて安心、ってしていたのを「逃げなくても何とかなる」ことを経験していくことが治療となります。

不安に挑戦する前に練習しておくこと

ただただ不安な場所にいってもなかなかうまくいきません。
余計怖くなるだけです。
不安なことに挑戦するにはコツが必要です。

コツの一つは不安な時の注意の方向。
嘔吐恐怖の人は吐き気に敏感で、自分の体の調子に注意がいきやすいのです。
例:
体の調子に注意が向く
→吐き気を意識
→吐き気出現
→不安が大きくなり、体に注意が向く
→吐き気が強くなる

このため注意が体に集中しないでおく練習をすると良いのです。
練習方法の概要はこちら。
・吐き気が怖い人の対処法
このあたりは専門家と練習しないと難しいかもしれません。

練習手順

ある程度注意の向け方をマスターしたら、不安に慣れる練習をします。
よくあるやり方は、不安場面をリストアップして、不安の強さを0(怖くない)~100(死ぬほど怖い)で評価。
数値の弱いところから、少しずつ挑戦していくとやりやすいです。
コツはパニック障害の治し方と同じなのでこの記事を参考にしてください。
・広場恐怖の克服方法 パニック障害の治し方

いろんな練習方法がありますが、簡単なやり方をご紹介します。
紙やスマホでこの手順を書きながらやると良いです。

手順は
①不安に挑戦する場面を決定
②不安場面での予想を立てる
③実際にどうなったかを結果を記録
④やってみて学んだことを書く

例:
①不安な場面
から揚げを食べる

②不安場面での予想
から揚げを食べると、吐き気がして、そのままでいたら吐くだろう

③結果
思ったより食べられた。吐き気は起こったが、吐くことはなかった。

④学んだこと
吐き気は起こっても、吐くことはない。

結果を見ながら①~④を繰り返していくと良いです。

基本的なやり方を書きました。
このブログをみて実践するだけで良くなる人もたまにいます。
しかし、一人で克服できる人は少ないと思います。
細かいところがわからかったり、壁にぶつかることがありますからね。
可能であれば、認知行動療法の専門家と相談しながらやっていくことをおすすめします。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


あなたは洗脳されているかも。厳しいことを体験しても心は強くなりません

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

会社の新人研修でやたらと厳しい研修するところありますよね。
マラソンしたり、大声出させたり、自己啓発的なことをしたり。

とってもか弱い私には耐えられそうもありません。
すぐに逃げ出しますね。

学校なんかでも、新入生に厳しいことをさせることがあります。
知人から聞いた話では、先輩の話を聞くときはつま先立ちをする、とか。
体育会系なんかそうですよね。

冷静に考える意味があるとは思えません。
厳しいことにをやったって、精神的に強くなるわけじゃないんですよ。
このあたり誤解している人が多いんじゃないでしょうか。
アスリートや軍隊のように厳しくやっている人が心の病気になりにくいかといえばそんなわけがありません。
むしろ、結構悩んでいる人が多いといわれているくらいです。

しかし「あれはあれで役に立ってるんだ」「あれで鍛えられた」「そんなもんだろう」って思っている大人は多いハズ。
とってもおかしなことなんですが、自分では気づいていません。
なぜなら心理的なカラクリがあるから。

シゴかれると「あれって役に立った」と考えるようになる

人は苦労して得たものに価値を置く心理が働くのです。
これも心理学の研究なんかでいわれていること。
モノでも地位でも組織にはいることでも。
例えば、欲しいものを簡単に手に入れた人と、いろんなところを探し回って苦労して手に入れた人では、苦労して手に入れた人の方がモノに価値をおきそうなのは予想つきますよね。

同じように部活、会社、組織で、最初にいじめのようなきついこと、大変なことを経験して仲間になると「その集団っていいな」「あのしごきで自分は鍛えられた」って思ってしまうのです。
不思議ですよね。

会社なんかで新人研修の時にしごきみたいなのを行うのは、その会社を魅力的に感じさせようとする効果があります(意図としているかわかりませんが)。
洗脳みたいなもんです。

それに耐え抜いた人は、単なる「しごき」「いじめ」みたいなものでも「今自分があるのは、あの時鍛えられたからだ」と、しごきを「価値あるもの」と考え、会社への忠誠心が高まります。
脱落した人は弱い人と見下し、それに耐え抜いた自分は強くなったと錯覚。
そして新しく入ってくる人にも同じようなことをさせるのです。
軍隊なんかがその辺利用しているのかな。

立たせたり、こきつかったり、殴ったり、しごいたり。
優しい人であっても、会社や部活ではそのようになります。

こういうのを一般的にイジメっていうのですが・・・。
問題なのはイジメている意識が当人にないのです。
「新人にはこうするんだ。自分は鍛えてやっているんだ。自分もそうして強くなったし。相手が弱いだけ」って思っています。
会社でパワハラがなくならないことの一因かもしれません。

新人に対して苦痛をあたえるのが「精神的に鍛えること」と思っていませんか?
「理不尽な苦労をしたから今の自分がある。後輩にもそのようなことを経験させるべきだ」と考えていませんか?

目を覚ましましょう。
単なるイジメです。
心理的なカラクリによって「精神的に強くなるんだ」と思い込んでいるだけ。

あと、いじめのような研修とか教育で集団に耐えきれず、適応できなかったって人いませんか?
「世の中そんなもので、自分が弱いだけじゃないのか?」
「これに耐えられないとどこにいってもダメなのでは」
「ここを辞めたって、こんな風にきついし、どこもいくとかないし」
と思いがち。
それで我慢してウツになる。
ちょっと洗脳されかかってますよ~!弱いとかそういうわけじゃないのです!
組織がおかしいだけです。
みんな洗脳されてるな~、くらいに思った方がいいですよ。
ウツになる前に、さっさと環境を変えることをおすすめします。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。