「 2016年03月23日 」一覧

縁起強迫の治療・克服法

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

・嫌なイメージが思い浮かんだら、その時の行動をやり直す
・不吉な数字が思い浮かんだら、「良い」数字を思い浮かべる

強迫性障害の一種、縁起強迫の症状の一つです。

外からみると、無意味に同じ行動を繰り返したり、ボーっとつったっていたり、なんかブツブツいっていたりと奇妙に見えます。
病院でも統合失調症と間違われることがあるくらい。

私は何人も縁起強迫の人をみたことはありますが、同じカウンセラーでも治療したことがない人が多いようです。
対処法がわからないって人も少なくありません。
患者さんの方が認知行動療法を勉強していて対処法を知っていたりします。

認知行動療法の専門家がいる地域なら相談すればよいのですが、いない地域もあるかと思います。
そんな人は患者さん自身が対処法を知って克服していきましょう。

今回は縁起強迫の治療・克服法について書いていきます。

嫌なイメージを打ち消そうとして悪化する

代表的な悪循環はこんな感じ。
嫌なイメージ(死ぬ、病気、苦手な人)
→自分や家族が、イメージのようになってしまうのでは?
→不安になる
→打ち消しのための行動をする(良いイメージを思い浮かべる、行動をやり直す)
→きっちりと打ち消していないのでは?
→打消しのための行動
→やっぱりきっちり打ち消していないのでは
→打消しのための行動・・・

この繰り返しで生活に支障が出てきます。
打消している途中で誰かに話しかけられたり邪魔がはいるとやり直しするでしょう。
完璧な打消しができないので。

縁起強迫の人は嫌なイメージを避けようと、考えない努力をします。
しかし、考えない努力は「嫌なことを考えないようにしよう」って「考えてる」ことになるので、もっと嫌なことを考えるようになるのです。
考えない努力は無駄などころから、症状を悪化させます。

頭の中で「大丈夫だ何も起きない」ってのも打消しの儀式(強迫行為)です。
儀式をすると不安はもっと強くなりますので、安心させることはやってはいけません。
周囲が「何も起こらないから大丈夫だよ」と言ってしまうともっと症状が悪化します。

時々頑張って強迫行為をしないでいると悪いことが起こっていないかを探します。
生活していると何か悪いことは起きるので「やっぱり強迫行為をしなかったら悪いことが起きたんだ」と考えがちです。

縁起強迫の克服方法

治療・克服法は嫌なイメージや不安に慣れていくことです。
そのためにやることは2つ。
・打消しの行動(強迫行為)をやらないこと
・嫌なイメージに慣れていくこと
この二つの組み合わせをします。

嫌なイメージになれるためにはワザと不安なこと、避けていたことをやっていきます。

苦手な数字が4だとします。
4は「死」をイメージするからだと不安です。
4があると「5」を思い浮かべたり、何かやるのは4時を避けている。

こんな場合は以下のやり方が一例。

・4を思い浮かべてる
・4の数字を何度も書く
・ワザと4時に動く
・スマホの待ち受けを4の数字にする
・生活のいたるところに4を書いたものをはる
・「死ぬ」とイメージしながら日常生活を送る
・打消しの行為はしないで行動を続ける

こんなもんできるか~!と言いたくなりますよね。
もちろんやるのが怖い人はやりやすいところを探してそこから一歩ずつすすんでいくとよいです。
最初は不安で仕方ないかもしれませんが、しつこいくらいやっていくと思い浮かんでも気にならなくなってきます。

「何も起こらなかった」と安心はダメ

ここで気を付けたいことがあります。
「4が思い浮かんでも何も起こらなかったら大丈夫」とわかる練習ではありません。
そんな風に考えてもある程度まではよくなりますが、また元に戻るでしょう。
安心する理由を探していることは強迫にエサを与えているようなものです。
ちょっとよくなった時期もあるけれどぶり返した、って人はこのパターンが多いです。

我慢だけじゃダメ 積極的に嫌なイメージに慣れていくことがキモ

打消しの行為だけをやめることに一生懸命になりがちです。
克服のキモはあえて縁起の悪いことをやっていくこと。
「嫌なイメージうかんだから我慢しよう」ではなく「嫌なイメージは積極的に考えよう」
これがないといつまでたっても「我慢する」だけで良くなっていきにくいです。
「打ち消さない」ではなく「縁起の悪いことをワザとやる」をメインに克服プランを立てていきましょう。

一人でやってもうまくいかない場合は相談にきてくださいね。
強迫性障害が良くなっていった人の体験談はこちらです。

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