「 2015年01月18日 」一覧

嫌われるのが怖いって人向け本

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

私はあまり自己啓発書を読むことをおすすめしません。
読んでいるうちは行動しないことが多いし、悩みについて考え込んでしまうことも多いし、怪しげなものが多いから。

それでもなんか読みたい!なんかないですか?って人もいるんですよね。
あえて読んでもいいかも、と思うのはこちらの本。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
(2013/12/13)
岸見 一郎、古賀 史健 他

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アドラー心理学という一派の本です。ベストセラーになっているので読んだ人もいるかもしれません。
書いていることやアドラーの考え方、このカウンセリングの手法には、なんら科学的根拠はありません。
しかし、思ったよりよかった。
的を射ていることが多く参考になると思います。
こういう類の本て「自信をつけよう」「自分らしく」「あなたは傷ついてきた」と耳障りのよいことばかり書いていて、悩んでいる時に心地よい割には何の役にも立たないことが多いのですが、本書はちょっと違うかも。

中身をちょっとだけピックアップします。

トラウマは存在しない!

ここでいっている「トラウマ」っていうのは「自分がこうなったのは両親との関係だ」とか問題を過去の出来事のせいにしている場合ってこと。
そんな風に思っている人には抵抗がある言葉でしょう。
「自分はアダルトチルドレンだ!親子関係が今の私の生きにくさの原因だ」って思い込んでいる人って多いんですよね。
そんなこと書いている本を読むより、この本を読んだ方がずっと良い方向に行くと思います。
実際に過去の親子関係を扱わなくても、症状を改善することがわかっています。
変えていけのは過去ではなく「今」と「自分」ですから。

「自由とは他者から嫌われることである」
「『あの人』の期待を満たすために生きてはいけない」

嫌われないようにしようとしているうちは他人にしばられます。
他人の目を気にせず自分らしい生き方がよいとされていますが、そうするには嫌われたり、認められなかったりする可能性を引き受けなければなりません。
でも誰かの期待を満たすためにあなたは生きているですか?
他者から嫌われないけれど不自由に生きるか、嫌われる可能性はあるけれど自由にいきるか。
人生の選択ですね。

「これまでのどんな人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない」
「人は変われる」

自分を変えられないのは自分が「変えない」と決心しているだけで、不満はあっても変わらないほうが楽だからだ、という趣旨です。
変わらないメリットてあるんですよ。
変わることで起こるであろう不安を避けることができますから。
「昔からそうだし」「性格なんて変えられないし」「どうせ自分の気持ちなんてわからないでしょ」「そんな簡単にできない」と○○だからできないと、「変われない理由」を自分に言い聞かせて「変わらない」道を選んでいる、ということ。
ちょっと私にも思い当たる節があるので耳が痛い話です。

とまぁ、いろいろピックアップしたいことはありますが、気になる人は詳しくは読んでみてください。
こんな人におすすめ
・認められたいという欲求が強い
・自分は変われないと思っている
・人目を気にして嫌われるのが怖い
・「あなたには私の苦しみがわからないでしょ」とよく言う
・親子関係など過去にこだわっている

わかりやすくしようとしてか、青年と哲人との会話で書かれていますが、結構理屈っぽいくてややわかりにくいところもあるでしょう。
それでもいろんな人の参考になる内容だと思います。
こういう本を読んだら、読みっぱなしではなく行動に移してくださいね。
行動できない・変われない理由を考えていないか注意しましょう!

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