人を操ることは簡単にはいきません

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

先日のテレビで「人を操る」ということをテーマで番組をやっていました。

テレビでやる心理学的なことって、いい加減なことが多いので見ないことが多いのですが、よく患者さんから質問されることもあるので、気が向いたときはみるようにしています。

家事を手伝わない夫に包丁やらエプロンやらを買ってあげたら家事をやり始めた、なんて実験をしていました。

実際のところはそうはうまくいかないとは思いますが、なかなか面白い手ですよね。

男性は形から入る人が多いから物を買ってあげる、という理由だそうです。

それ以外にも理由はありそうですけどね。

例えば返報性の原理という心理的な作用なんか考えられるのでは。

返報性の原理というのは、他人から何かをしてもらうとお返しをしなければならないという感情が働きやすくなることです。

心理学の実験でも確かめられています。

この原理を利用して企業なんかが物を売る時によくやっているのですよ。

試食なんかが典型例です。
返報性の原理も狙っていることはあまり気づきませんよね?
「無料でプレゼント」なんていうものもそうですよ。

つまり返報性の原理から解釈すると、夫は包丁やらエプロンやらを妻に買ってもらうことによって、何かお返しをしなければならないという感情が働き、妻の言うことを聞きやすくなった、とも考えられます。

もちろん、いくらもらっても「嫌だ」という人もいるので、簡単にはいきません。

しかも「最初のうちは家事を手伝ってくれたけれど、いつの間にかやらなくなった」ということが多々あります。

つまり、家事という行動を一度起こさせるだけでは不十分で、それを維持させていく手段もセットで考えないといけません。

人を操るなんて、そう簡単にできるもんではありませんよ。

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