「 2009年03月04日 」一覧

うつ病と家族とコミュニケーション

臨床心理士の鈴木です。

うつ病になると、うつ病本人の治療が必要です。
当然のことですね。

うつ病になった「本人の中」に「うつ病」というものがあり、それを治療するべきとなります。

しかし、うつ病は本人だけの問題だけではない場合が多いものです。

例えば専業主婦の女性がうつ病になったとします。

だんだん意欲の低下、不眠などが現れ、夕食のメニューを決めることができなくなるなど、家事全般に影響を及ぼします。

それを見た夫は心配し、「趣味でも始めたら?」「こんな風に考えたら?」「雑誌についてた~法をやってみたら?」など、様々な提案をします。
うつ病について調べると、お薬を飲んで、休養させると書いてあるのでその通りにしてみたり。

しかし、なかなか良くならない。

夫が解決方法を提案しても「・・・でも、できない」「そんな風に考えられない」「そんな方法はストレスになる」と、妻は言う。
そうすると「治る気持ちがない、なまけているだけ」「気持ちが弱い」「親の育て方が悪いんだ」「せっかく提案してるのに・・・やる気の問題だ」と夫は感じ、イライラしていきます。

妻はそんな夫を見て「わかってもらえない」と、さらに落ちこんでいき、そうするとさらに夫がイライラ・・・という悪循環。

このように、うつ病は周囲にも大きく影響を及ぼし、関係の悪化→症状の悪化→関係の悪化→・・・を繰り返していきます。

本人が悪い、周囲が悪い、と言っているわけではありません。
上記の例では、うつ病の妻は元気を出そうとしても出せないのです。
こんな時は苦しい思いを聴いてほしいだけのことが多いものです。
夫は自分なりに解決案を提案するなど努力しているものの、どう接してよいかわからない状態になっています。
ただ話を聴いてほしい、受け入れてほしい妻と、妻のために解決案を提案しようとする夫との間にコミュニケーションのズレがあり、かみ合っていないのです。

特に対処方法を勉強している家族ほど「その通りにならない」「頭ではわかっているけどイライラする」「いつまでこの状態でいるんだろう」と、教科書通りにならないと不安になることもあります。

このため本人だけでなく、家族もうつ病に対する知識や対処方法を学ぶと、治療がスムーズになることが多いと思います。
お互いのコミュニケーション方法を変えていくことは大事です。
私は可能ならば家族がきて下さるよう頼むこともあります。

うつ病である本人への直接的な治療も大事ですが、ご家族や親しい人とのコミュニケーションが上手くいくと、うつはぐっと楽になりますよ。

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