「 2009年01月 」一覧

第1回相談機関選びのポイント―何科に行くか

臨床心理士の鈴木です。

病気が良くなってカウンセリングを終えられた患者さん、家庭などの事情により引っ越した患者さんから、近況報告のお手紙をいただくことがあります。

お返事を出すことはできませんが、手紙には目を通しております。

これからも充実した人生を送っていってください。

しかし、ここである問題が。
近くに住んでいる方は何かあればまた来談すれば良いのですが、引っ越しなどで来談できない方はどのようにして、精神科なり、カウンセラーを見つければ良いのかという問題です。

私も風邪などの病気になった時は、どこに行こうか迷います。
迷った時は知人に聞いてみたり、近くにあるところに行ってみたりします。
軽い風邪程度であれば、どこにいってもあまり変わらないとは思いますが、それでも「良い」医師のところには行きたい。
それを調べようと思ってもインターネットの口コミ程度しか調べようがない。
口コミも本当に信用のできるものか分からない。
結局、行ってみなければわからない、ということになります。

ところが「こころの病」は2~3日で良くなるものではなく、数ヶ月~数年、医師やカウンセラーと付き合っていく必要性があります。
このため相談機関選びは内科などより慎重になった方が良いかと思います。

そこで、私の知識と経験から精神科やカウンセリング機関などの、選び方のポイントを何回かにわけて書いていこうかと思います。

もちろん、私の主観に基づいて書いていくので絶対的なものではありませんが・・・。

まず第一回、相談機関選びのポイント。

何科に行くか。
いきなりあまりポイントにならないポイントですが、かなり方が誤解をしているので・・・。

「うつかな」「パニックかな」と思った時、どこに行けばよいのでしょう。
カウンセリング、精神科、心療内科、神経内科、内科など迷った経験はありませんか?

まず、医療機関をお勧めします。
しかし、医療機関にかかることに抵抗がある方や、医療機関に行く程かどうかアドバイスしてもらいたい時は、カウンセリングで相談してみるのも一つの手段です。
ただ、これは医療機関に勤務している、勤務経験のあるカウンセラー(臨床心理士)である方がよいと思います。
その理由についてはまた今度。
ほとんどカウンセラー(臨床心理士)は医師ではないので、薬はだせません。
ここが医師とカウンセラーの大きな違いです。

そして、「精神科」、「心療内科」、「神経内科」。
この違いがわかりますか?

よくある誤解は「精神科」は重病で精神病の人、「心療内科」はうつなど比較的軽いイメージの人、と考えられていることです。

うつや不安、イライラ、不眠など、よくある「こころの病」のほとんどは「精神科」の分野です。
軽症であろうと、重症であろうと、精神科です。

身体疾患で、その治療と経過に心理的な要素が大きく関連してくる場合が「心療内科」です。
例えば、胃潰瘍、高血圧など。
心療内科は「内科の一分野」と考えた方がわかりやすいと思います。

脳血管障害やパーキンソンなど、脳神経系の病気を扱うのが「神経内科」です。

よく精神科が嫌だからといって内科で安定剤をもらっている方もいますが、うつや不安が長引いている場合は専門である精神科受診をお勧めします。

「精神科・心療内科」「心療内科・内科」という看板を目にしますが、多くの場合は「精神科」医師が診療しています。
その理由は、一般の方にとって心療内科の方が「軽い精神症状」という間違ったイメージがあり、敷居が低いことが一因です。
実際のところは「精神科」「心療内科」どちらに行っても、精神科医師が担当していることが多いかと思います。
一部の病院では厳格に分かれている場合もありますので、心配な時は問い合わせしてみると良いでしょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。


洋服屋とカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

年始はバーゲンの時期。

洋服などを買うチャンスでもありますが、ほしい服を見るとだいたいセール対象外だったりする。
好きなお店ほどバーゲンはしていません。

それにあの混み具合。

20代の頃までは混んでいてもバーゲンに行っていました。
今では混んでいない時期にちょっと見る程度。
だいたい見る店も決まっています。
このため、バーゲンが始まる前に買い、こだわらない商品だけ空いた時期にバーゲン品を買うこともあります。

ところで、洋服屋さんで気になること。
声をかけてくる店員さん。

やけに馴れ馴れしい。
やけに「逆にこれなんかいいんじゃないですか」という逆になってない「逆」という言葉を使う。
「見てるだけ」と言ってもしつこく説明してくる。

しつこい営業や勧誘と変わらないんじゃないかと思います。
営業なんでしょうけれど。

買おうと思っていた気も失せることも多数。

空いているときに行くので、声をかけられる確率が高いような気がします。

声をかけてもらい時は声をかけてもらいたいし、一人で見たい時は声をかけてもらいたくない。
「見てるだけ」と言ったら、距離をとってほしい。
当然のことだと思うのですが・・・。

これは対人関係を考える上では同じことが言えます。
その時々によって柔軟に対応は変えなくてはいけません。
友人関係、職場の上司、交際相手、病気の家族に対する対応など人間関係、うつや不安に対する対処法などもそうです。
マニュアル的なものでは限界があります。

ですから洋服の店員さんもカウンセリング的な考え方って必要だと感じます。
いや、色んな職業に応用できるのでしょう。
営業、製造業、スポーツ、マネージメントなどなど。

実際、心理療法の一つである行動分析学をビジネス分野に応用した「パフォーマンスマネジメント」という方法もあります。
うちのカウンセリングにも企業の方がマネジメントについて相談に来られることもあります。

また、カウンセリングを受けられている方で「今までやったことって、悩み事以外にも応用できそうですよね」と感想をおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

その通りです。

うつや不安のためだけでなく、仕事や人間関係など、生活全般にカウンセリングで身につけた技術を応用していくと良いと思います。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。


本当のことが言えないのは抑圧されているから?

臨床心理士の鈴木です。

こんな問題について良く耳にします。
「自分を抑えて本当のことを言えない」

よく耳にするアドバイスとして聞くのが、「あなたは人の目を気にして自分を抑えているんですね」「過去の親子関係で愛された経験がないのですね、親の目を気にしてきたことが原因ですよ」「人のことは気にせず、本当に言いたいことを言えるようになりましょう」という答えになってたりする。

このような答えを聞くと「私もそう!」「そういえば親にあの時こんな扱いを受けた、あの時つらかった」と、何となく自分に当てはまり、わかってもらえたような気がしてしまいがちですが・・・。

このパターンとしては両親を責め、その両親がさらに高齢者となった自分の両親を責める、「世代間伝達」などどいうもっともらしい理屈をはりつけているものです。

一時はわかったつもりになって、楽になることもありますが・・・。

恨みははれましたか?現実は変わりましたか?言いたいことは言えるようになりましたか?問題は解決されましたか?

まず一ついえることは、幼児期の体験が現在の精神疾患の原因であることはありません。
日本ではこの理屈が流行しており、一部のカウンセラーがそのようなことをいっていることがありますが、根拠としては非常に乏しい理屈です。

もう一つ、現実の場面で自分を抑えず言いたいことを言っていたら、だいたい孤立していきます。
それに相手が自分の要求に応えてくれるとは限りません。
人の目を気にすることは決して悪いこととは限らず、人の目を気にするからこそ、人間関係や社会が成り立っている部分があります。

もちろん言いたいことをいえるようになることにより、解決してくこともあります。
当然ながら主張することが問題解決に結びつく場合です。
その時は、場所、タイミング、言い方を工夫、練習し、自分の言いたいことを言えるようになる必要があります。
これにはコツがありますので、カウンセラーと相談しながら進めていくと良いと思います。

要はバランスが大事だというだけです。

そして自己主張できることが重要なのではなく、どうすれば問題解決に向かうか、どうすれば自分がもっと充実した人生を送れるかが重要なのです。
「自分の言いたいことを言って、自分が抑えていることを解放する」=問題解決とは限らないのです。
自己主張は目的ではなく手段にすぎません。

「自己主張できない抑圧の理屈」から離れて、解決に一歩踏み出してみましょう。

うつと不安のカウンセリングをご希望の方は・・・
浦和すずのきクリニック
048-845-5566

電話か窓口で「カウンセリングの予約」をして下さい。


心のデトックス

臨床心理士の鈴木です。

このブログのタイトルは「うつと不安のカウンセリング」です。
何の工夫もないそのままのタイトルです。
当初、色々とタイトルは考えました。
「心のカウンターバー」「心のガソリンスタンド」「心のメモリーグラス」などなど、ボツになった案は数知れず。
どうも私が考えると昭和の雰囲気になってしまうようです。
いつかいいタイトルが見つかったら変えてみようと思っていました。

先日、髪を切りに行ったときに美容師さんとブログの話になりました。
美容師さんは「美」をテーマにブログを書いているそうで、私もカウンセリングと「美」を結び付けられないかと考えていたところ、思い浮かんだのが「心のデトックス」。

しかし、もしかして同じようなこと考えている人がいるような・・・という気がして「心のデトックス」を検索サイトのYAHOOで調べてみました。
調べてみたら、あるある・・・。

私のような凡人が思いついた時にはもう他の方が考えているものですね。

YAHOOの辞書で調べたところデトックスは「解毒」「浄化」ということらしい。

そうすると「心のデトックスは」、「心の中にある悪いものを外に出す」といった意味になるのでしょう。
さらに説明としては「抑圧された心の葛藤を吐き出すこと」として、カウンセラーの前で言葉に吐き出すことによって、「心のデトックス」が進み健康になるという理屈にしている印象です。

ここで考えてみください。
嫌な出来事、苦しい出来事を忘れようとしたけれど、忘れられないという経験はありませんか?
人間関係、恋愛、過去のつらい出来事、さみしい感情、何度も頭の中によぎる不安など。
忘れようとしたって、嫌な出来事は浮かんでくるものです。
「嫌なこと心の外に出そう」という行為は「うつや不安をなくそう」「嫌なことを忘れよう」とする行為と同じで、逆に嫌なことを留まらせる作用もあります。
うつや不安をなくそう、嫌なことは忘れて無理に前向きに考えよう、という行為は底なし沼であがくようなものです。
なくならい悩み、いつまでも付きまとう不安を必死で振り払おうとして、疲れ果てていきます。

確かに誰にも言えなかったことをカウンセラーの前で話をし、楽になることは多々あります。
しかし、それがカウンセリングというわけではありません。
カウンセリングはもっと様々な方法があるのです。

これらのことから、「心のデトックス」は実際のカウンセリングとかけ離れているイメージだと考え直しボツにしました。

そんなことを言いながら、今日ニュースで「すっぴんメイク」をやっていたのを見てひらめいたタイトル。
「心のすっぴん美人-心のメイクを落としてみませんか-」
これも結局は「心の中に悪いものがあり、それをなくさなければいけない」となる感じがしたのでボツ。

しばらくはこのままのタイトルでいきます。
これからも「うつと不安のカウンセリング」をよろしくお願いします。


おみくじとカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

私は初詣にいくと必ずおみくじをひきます。

以前も書いたように、占いは好きです。
結果がよければうれしいし、悪ければ気をつけようと思うから。

それに比較して、臨床心理士でありながら多くの心理テストは好きではありません。
根拠に乏しいのに、「心理」という名の下、根拠があるように見せているから。

臨床心理士の施行している心理テストでさえ、十分に信頼性、妥当性がある心理テストはさほど多くありません。
ですから、私はインクの染みを見せて「何に見えますか」というテスト、絵を描かせて最もらしい解釈をするようなことはしません。
時間の無駄だと思っています。
そんな時間があったら解決できる問題がたくさんあります。
また同様の理由で、「深層心理」「無意識」「共依存」「アダルトチルドレン」という「考え方」も扱いません。
扱わなくても十分に問題解決が可能です。
時折、「深層心理」に病気の原因があると説明する専門家もいますが、そんなことはまずありません。

そんな心理テストや「深層心理」「過去調べ」みたいなカウンセリングに何時間も時間をかけていませんか?
そのようなものだけがカウンセリングではありません。
カウンセリングに対して上述のようなイメージを抱いている方がいましたら、一度認知行動療法の専門機関に行くことをお勧めします。
カウンセリングのイメージが変わるかもしれませんよ。