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解離性障害

解離性障害とは

解離とは「過去の記憶、同一性と直接的感覚の意識、そして身体運動のコントロールの間の正常な統合が一部、または完全に失われた状態」(ICD-10)とされます。解離として現れる状態には、いくつかのパターンがあります。

まずは忘れっぽくなることです。忘れることは誰にでもありますが、あまりに忘れっぽくなり、日常生活に支障をきたすことが出てきます。昔の記憶を忘れることが多いですが、場合によっては今何を話していたのか、話している最中に忘れることもあります。

また、自分がどういう人間であるのか、子供の頃から歴史的にたどって、どういう生活を送ってきたのか、振り返ることが難しくなります。それによって、将来に対する見通しもつきにくくなり、本人自身が混乱することがあります。行動も一貫せず、他人にはその場その場で性格が異なっているような印象を与えます。この状態が進むと「解離性同一性障害(多重人格)」といわれたりします。

そして「離人症」といわれる状態があります。これは素晴らしい景色を見たり、映画や音楽を見たり聴いたりしても、それが活き活きと感じられなくなります。また他人と話をしても生気を感じられなかったり、フィルターを通して物を見ているように感じられたりします。

こうした状態のうちどの症状が多く見られるかは、人によって異なります。

解離性障害では、考える力はほとんど損なわれません。そのため趣味を楽しむ時にはそれほど障害があるようには感じられません。しかしその一方でどうしても苦痛をともなうような、現実的な社会生活に直面して、現実的に考えることはできなくなります。

解離のメカニズム

ではどのような場合に解離性障害になるのでしょうか。関連性の強いものとして、子供時代の外傷体験があげられています。外傷体験には様々なものがあり、例えば身体的・性的虐待や、命の危険に関わるような事故、両親の不仲、大切な人の死などがあります。特に長期間に様々なことが重なって外傷が起こった場合に解離が起こりやすいと考えられています。

ただし、外傷があったからといって必ず解離が起こるわけではありませんし、外傷が無くても解離が起こることもあります。

もう一つは生まれながらに持つ、解離しやすさの度合いがあります。認識することがあまりに辛いと、それを無かったことにすることで乗り切る、一種の才能のようなものです。解離は自分を守るためにある面ではとても有効なのです。しかし解離は習慣化しやすいため、安全な場面に戻っても癖になって解離を起こしてしまうことが多く、生活に支障が出てきます。このような解離をする才能は、意識の状態を変化させる必要があるために、催眠のかかりやすさとも関係してきます。

解離性障害からの回復

残念ながら解離性障害がすぐに良くなる方法は見つかっておりません。そのため心理療法やカウンセリングが重要な役割を果たしますが、一般的に長期間にわたることが多いようです。

最終的に外傷的な記憶を取り戻すことが良いことなのかどうかは異論がありますが、たとえ記憶を取り戻さなかったとしても、今は本人の周りを取り巻く状況が安全であることを本人が実感することが大切になります。そして今は解離をする必要が無いということを確認していくことになります。

また、解離とはどのようなものか、心理療法の中で確認をしながら、どのような時に解離しやすいのか、チェックをしていくことで解離をしやすい行動パターンを修正していくこともできます。

そのような過程の中で外傷の記憶に耐えられるほどの強さが生まれてきた場合、自然と記憶が戻ってきます。その場合は過去の体験に対して喪に服するように、こころの中に納めていきます。

参考文献
Putnum,F.W. 1997 Dissociation in Children and Adolescunts. Guilford Press. (中井久夫訳 2001 解離−若年期における病理と治療 みすず書房)
精神科治療学選定論文集 1998 心的外傷/多重人格論文集 星和書店

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