
うつ病(気分障害)
うつ病(気分障害)とは
抑うつが一日中続いて、睡眠が取れなくなったり、食欲がなくなったりします。あるいは逆に睡眠や食欲の量が増えたりもします。そして集中力がなくなったり、自分には価値がないと思ったり、自殺について考えたりすることもあります。
こうした抑うつ気分が長く続くと、うつ病ということになります。人によっては季節によって抑うつ気分が軽くなったり重くなったりする人もいます。
どれぐらいうつ病の人がいるかについては、どこからどこまでをうつ病というのか難しいために、はっきりとはいえませんが、人口の3%〜5%の人がうつ病だと考えられています。つまり100人いれば3人から5人はうつ病ということになります。
普通の憂鬱との違い
憂鬱は当然普通の人でも感じるものです。特に精神分析では、憂鬱を感じることができるようになるためには、ある程度大人の性格になっていなければならない、と考えられています。例えば子どもは大人が自分のためにあれこれしてくれることを当然のことと感じ、他の人に対して申し訳ない、と感じることはありません。これは他の人のことを自分とは別の人間とは認識していないためです。ところが成長してくるにしたがって他人を自分とは違う人格を持った一人の人間であることを認識するようになります。そして今まで自分の取っていた振る舞いに対して申し訳なさを感じ、他人に対して思いやりを持つことが出来るようになります。この申し訳なく思い、思いやりを持てるようになった時点で、人は憂鬱を感じることができるようになる、というわけです。
ではうつ病と普通の憂鬱とでは何が違うのでしょうか。これはとても難しい問題で、なかなか確かな区別をするのは難しいのです。一つには程度の差があり、うつ病になると普通の抑うつ気分以上に気持ちが滅入り、苦しさも強まります。ただ、これでは客観的にはわからないので、もう少し客観的にわかるところをあげて見ます。
まずは日常生活が送れなくなることです。仕事に行ったり人と付き合ったりすることが出来なくなります。そして普通の憂鬱な気分は、なぜ憂鬱になっているのか本人にその理由や、、そうなった背景が自覚できます。しかしうつ病になった人ではなぜ自分がここまで抑うつを感じなくてはいけないのか、なんとなくきっかけはわかっていても、理由がはっきりとはわかりません。また、普通の憂鬱を感じている人は、人と話したり趣味をしたりして気分転換をすることができます。ところがうつ病の人ではそうした気分転換をすることが逆に負担に感じられます。
うつ病(気分障害)への治療法
このように考えるとうつ病が治るというのは「憂鬱な気分が無くなる」ことではありません。たとえ憂鬱であっても「日常生活をする」ことができ、「憂鬱になった背景を説明する」ことができ、「気分転換をする」ことができる、ということになると思います。
うつ病の治療には、まず薬による治療と認知行動療法が有効だといわれています。お薬は専門の病院やクリニックにかかって処方してもらって下さい。カウンセリングオフィス「クローバーリーフ」ではお薬をお出しすることはできないため、提携先の病院、クリニックをご紹介することになります。
認知行動療法では、うつになりやすい考え方をチェックしていきます。人にはそれぞれ、自分では気づかないうちに自動的に頭に浮かびやすい、考え方の癖があると考えます。この考え方の癖に気づき、より現実的な考え方ができるようにしていきます。
薬による治療と認知行動療法によって、7割から8割の方が改善をするといわれています。しかしこれらの方法によっても改善しない、改善したけれど再発した、あるいは改善はしたけれどもまだうつ病が治っているように感じられない、という場合、別の方法を試していくことになります。
うつ病になったことを語ること
別の方法というのは、うつ病になった背景を考える、ということになります。そしてそれをカウンセリングの中で語ることが大切になってきます。ここでいう背景というのは、うつ病になった原因、とは少しニュアンスが違います。原因というと何か特定の問題があって、それを解決すればうつ病が治る、という考え方につながりますが、実際にはうつ病の原因は複雑で、特定の原因を見つけるのは大変難しいですし、それがわかったとしてもなかなか取り除けるものではなかったりします。
ここで背景を語るというのは、うつになった経緯にとどまらず、自分の今までの生活を語り、自分の人生の中にうつ病を位置づける、ということです。そして自分だけの「物語」を作ることになります。これによりうつ病になった必然性を感じ取り、うつ病に圧倒されることが少なくなります。そして何より、うつ病になったということを肯定的に受け止められるようになり、これからの生活が自然と見えてくるようになります。ただし自分の「物語」を作ることは時間がかかる方法ではあります。
参考文献
平井孝男 2004 うつ病の治療ポイント 創元社
Segal,H. 1964/1973 Introduction to the Work of Melanie Klein. Hogarth Press.(岩崎徹也訳 1977 メラニークライン入門 岩崎学術出版社)
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